1. ホーム
  2. 社会
  3. 地域の力で歴史的建造物守れ、市が地元に支援組織/小田原

地域の力で歴史的建造物守れ、市が地元に支援組織/小田原

社会 神奈川新聞  2012年07月31日 12:06

旧東海道沿いに立つ内野家住宅=小田原市板橋
旧東海道沿いに立つ内野家住宅=小田原市板橋

小田原市は、市内に残る歴史的建造物の維持管理に住民の力を取り入れるための調査を始めた。旧家「内野家住宅」(同市板橋)を対象に地元の自治会や商店会などによる支援組織を結成、ボランティアの育成や管理の財源確保策の検討などに乗り出した。

同市文化部によると、調査は国土交通省の新規事業「歴史的風致維持向上推進調査」に採択された。同市は昨年6月に「小田原市歴史的風致維持向上計画」の認定を受けた。

小田原城の西側、旧東海道に面する板橋地域は、同計画で重点区域に位置付けられている。一帯は明治期に全国有数の保養地になり、松永記念館など国登録有形文化財に指定されている建物が数多く現存している。

内野家住宅は、3代にわたって醤油(しょうゆ)醸造業を同所で営んだ旧家。明治36(1903)年に建設された木造2階建ての住宅兼店舗は延べ床面積約263平方メートル。敷地の裏手に工場跡や倉庫跡も残っている。

当時、関東一円で流行した土蔵造り町家の形式だが、出入り口に洋風の石造りのアーチを採用。市内で半数の建物が倒壊した関東大震災の揺れにも耐えた。和洋折衷的外観は「貴重な建築遺構」とされている。

醤油醸造業は昭和50年代に廃業。3代目が昨年他界し、4代目にあたる内野洋一郎さん(54)が利用予定のない建物の存廃を思案。知人の後押しもあり、今年5月に初めて内部を公開、2日間で約250人の地域住民らが見学した。

建物は現在、文化財の指定は受けていない。しかし、同計画では「歴史的風致形成建造物」の候補にリストアップされている。

こうした歴史的建造物の保存は、維持管理が各地で課題になっている。私有財産のため公的支援に限界もあり、所有者の負担によっているケースが大半だ。

そこで同市は今回の調査事業を踏まえて所有者の負担を減らし、歴史的街並みを守る取り組みを本格化させる。

具体的には、(1)講演会の開催など施設の周知(2)イベントなどを行い活用や管理運営の財源確保(3)ボランティアを育成した維持管理費の節減(4)視察やアンケート実施―が挙がっている。

内野さんは「支援してくれる民間団体や地元の方からぜひ残してほしいとの声があり、協力することにした。個人レベルでは、維持管理の問題を解決するのは難しい」と話している。

市文化部は「公的支援のハードルが高い中、有効な保存策を見いだしたい。この場所は箱根板橋駅にも近く、来訪者が周辺の歴史的建造物を散策する拠点としての役割も期待できる」と説明している。

◆歴史的風致形成建造物 歴史的風致の維持向上を積極的に図るため、重点区域内において必要かつ重要な建物を独自に指定する新事業。小田原市が所有者と協議しながら修理・整備費の助成や活用法などを支援する。候補物件として20カ所が挙がっている。

【】


2階にある客間部分
2階にある客間部分

シェアする