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小学校と美術館が手携えユニーク授業、学芸員が“目”養う/逗子

社会 神奈川新聞  2012年07月30日 12:56

読み上げられた言葉から連想する絵が描かれたカードを選ぶ4年生=逗子小学校
読み上げられた言葉から連想する絵が描かれたカードを選ぶ4年生=逗子小学校

逗子市立逗子小学校(神田寛校長、児童数877人)で、図工の授業の教壇に美術館勤務の学芸員が立っている。児童の感性や鑑賞力を磨くだけでなく、大人になっても自らの遊び場のような感覚で美術館に通える資質を養う―。学校と美術館双方の思いが地域の連携を呼び込んだ格好だ。アートの専門家によるユニークな体験型授業が、子どもたちの目を輝かせている。

「開かれた学校づくりの推進」を掲げる同小は「地域の教育力」を重視し、市立図書館や文化プラザといった近隣施設との連携を進める。葉山館を所有する県立近代美術館に勤務する学芸員の山内舞子さん(32)、鈴木智香子さん(26)の派遣は、この取り組みから発展した。

2人は一組で、4年生と6年生の図工の各クラス1時間を担当する。「鑑賞」がテーマの体験型授業とは―。

4年生がグループに分かれ、車座になって“カルタ”取り。鈴木さんが読み上げる。「ぴかぴかの金の大地に花開く」。“取り札”を手に立ち上がったり、跳びはねたり。その都度、教室は大歓声に包まれた。実はこのカルタ、同美術館が制作した所蔵品カード。「ミュージアムボックス宝箱」という名で56枚1セットとなっており、読み上げられた言葉が思い浮かぶ絵のカードを選ぶという趣向だ。

別の日。6年生の教室は一転して静かだった。教材は同美術館のポスター。やはり所蔵品の絵がポスターに印刷されていて、こちらは絵から連想される言葉を付箋(ふせん)に書いて貼っていく。「悲しい感じ」「キモい」「サンダル」「目が赤い」…。人物や風景を言葉で“見える化”する作業なのだという。

「描かれた人物の精神状態は口の形ひとつで想像できる。ただ目に映ってはいるものの、実は見えていない子どもが多い」と山内さん。つまり、この授業は「アートと付き合うための基礎体力を養い、作品の魅力をリサーチするための練習」と意義付ける。その上で「同じ絵を見ても自分と友達の感じ方は違うし、その違いを受け入れるところが美術の面白さでもある。一人一人が感性を磨き、気軽に美術館に足を運ぶ大人に成長してほしい」。

神田校長は「教科書を中心とした授業はもちろん大切だが、学芸員の美術作品を見る本物の目が、子どもたちの気持ちを『面白い』『楽しい』から『もっと学びたい』へと導いてくれれば」と期待している。

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