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セーリングどう魅せる? 東京五輪会場江の島に難題

社会 神奈川新聞  2017年03月19日 02:00

砂浜に大型ビジョンが設置されたリオデジャネイロ五輪のセーリング会場=昨年8月、リオデジャネイロ
砂浜に大型ビジョンが設置されたリオデジャネイロ五輪のセーリング会場=昨年8月、リオデジャネイロ

 2020年東京五輪・パラリンピックの開催経費削減について関係機関が頭を悩ませる中、大会期間中の演出に知恵を絞ろうとしている競技がある。藤沢市江の島が五輪の会場となるセーリングは競技の特性上、陸地から遠く離れた沖合でレースの多くを行わざるを得ない。にぎわう夏の湘南で一体感をどうつくるか。「見える化」のための工夫が課題になっている。

 レース会場は、県の素案では藤沢市江の島の東側から横須賀市佐島付近の沖合までの約十数キロ、幅4~5キロの海面を予定している。県は観戦客を5千人と見込み、これも素案段階だが、上位10艇でメダルを争う最終のメダルレースを観戦できる観客エリアを江の島の東南端に位置する南緑地などに設定している。

 メダルレースは陸上から見える海面で行うことが決まりとなっており、ゴールとなるフィニッシュラインも観客エリアから望めて臨場感は得やすい。昨年8月のリオデジャネイロ五輪ではメダルレースを制した選手がそのまま会場近くの浜辺へ向かい、観客と喜び合うシーンがあった。

 ただ、関係者が重視しているのは、観客エリアの人だけではない。

 五輪開催時期は海水浴シーズンとも重なり、レース会場近くの藤沢市の片瀬東浜海水浴場には昨年7月から2カ月間で約73万9千人が訪れている。

 それだけに、県セーリング連盟の貝道和昭会長は「セーリング人口が減りつつある中、まずは見てもらうことが大事。大型ビジョンでも何でも、ヨットレースを分かってもらわないといけない」と鼻息が荒い。県も海水浴場など数カ所にレースを映し出す大型ビジョンを設け、泳ぎの傍ら競技を見られる環境を整えたいとしている。

 とはいえ、いかに興味を引きつけるのかが難題だ。

 メダルレース以外のレースになると大半が陸地から目視することは難しく、気候によってレースの開始が遅れるケースもまれではない。リオ五輪でも大型ビジョンは設置されていたものの、応援する選手が何番手にいるのかといったレース状況が分かりづらいとの声も上がっていた。

 リオの競技会場を視察した黒岩祐治知事は「(リオでは一般の観客を)飽きさせないように、DJが盛り上げていく演出がされていた。そういったことも考えないといけない」と指摘。1964年の東京五輪の運営にも携わった貝道会長は、あくまでも私案と前置きした上で「七里ガ浜の岸から近いところを(レース会場に)設定して陸から見てもらったり、砂浜でイベントをしたり、といったこともできるのではないか」と提起する。

 子どもたちにとって、五輪は夏休み真っただ中。厳しいセキュリティーチェックも予想され、貝道会長は「閉鎖的になってしまったら、せっかく子どもたちが自由に見に来られるチャンスがあるのにできなくなってしまう。近くで見られれば将来やりたいというのも出てくるかもしれない」と心配する。

 五輪を間近で見られることはファンの拡大、未来の五輪選手の誕生にもつながる。県は体験会などを通じて競技のPRを進めており、五輪本番の仕掛けについても「競技団体からも重要という話をいただいている。浜辺で観客と盛り上がれるよう、これから考えていきたい」としている。


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