絵本「だるまちゃん」刊行50年 震災・沖縄 新作の思い|カナロコ|神奈川新聞ニュース

絵本「だるまちゃん」刊行50年 震災・沖縄 新作の思い

3冊同時に発刊されるかこさとしさんの新作絵本「だるまちゃん」

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 藤沢市在住の絵本作家かこさとし(加古里子)さん(91)の絵本シリーズ「だるまちゃん」の新作3冊が福音館書店から発刊される。昨年、刊行50周年を迎えた人気作品だが、3冊同時発売は初めて。絵本に込められたメッセージとは-。

 〈2011年3月11日の東日本大震災と津波に被災された方々への鎮魂と慰霊、そして原発事故への警笛の念を込めて作品とした次第です。〉

 新作「だるまちゃんとかまどんちゃん」の最後のページ。かこさんは自らの思いを「作者のことば」として表した。

 同作品は、岩手、宮城の両県に伝わる火の守り神をモデルにした「かまどんちゃん」と主人公のだるまちゃんが繰り広げる物語。だるまちゃんシリーズはこれまで8冊が発刊されているが、今回はより強い思いがあったという。

 「どうしても、今残しておかなければと思って書かせていただきました」。昨年10月のインタビューで、かこさんはそう語った。

 戦争を体験し、19歳で敗戦。手のひらを返したように態度を変えた大人たちに失望、憤怒し「これからは子どもさんたちの役に立ちたい」と絵本を描き続けてきた。そんな絵本作家の目には、当時と今の大人たちが重なって見えるという。

 2014年に出版した自叙伝「未来のだるまちゃんへ」(文芸春秋)では、原発事故後の政府の対応について「戦争中と同じように肝心な点を解明公開しないで『神話』と『秘匿』が横行しているように見えるのです」と述べていた。

 今回、別の新作「だるまちゃんとキジムナちゃん」は沖縄を舞台に選んだ。他の作品と同様、最後のページに作者のことばとして、「古い伝承への敬意と、戦中戦後、今なお続いている沖縄の方々へのご苦労に対しての、ささやかな謝意と、同志的応援のつもりです。受けて頂ければ幸いです。」と記した。

 1959年に絵本作家としてデビューし、著作は600冊を超える。昨年11~12月に藤沢市内で初めて開催された「かこさとし展」には、24日間で1万1057人が来場。市は「かこさんの作品が親子3世代にわたって親しまれ、今も多くの人に支持されている」とし、今後も展示会や読み聞かせのイベントを企画していくという。

 新作「だるまちゃんとかまどんちゃん」「だるまちゃんとキジムナちゃん」「だるまちゃんとはやたちゃん」は12日から全国の書店に並ぶ。絵本の問い合わせは、福音館書店電話03(3942)1226。

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