ベテラン40代先生、足りない 県内小中学校 ノウハウどう伝承?|カナロコ|神奈川新聞ニュース

ベテラン40代先生、足りない 県内小中学校 ノウハウどう伝承?

「若い先生を支える横浜のチーム力」と、若手をサポートする体制をアピールした横浜市教委のパンフレット

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 県内の小中学校でベテラン教員が減り若手が増える傾向が強まっている。文部科学省が9月中旬に発表した2016年度教員統計調査(中間報告)で明らかになったが、神奈川ではさらにその傾向が強い。全国の小学校には40歳未満の教員が4割いるが、県内ではほぼ6割に達する。ベテランが減ることにより今後、中間層のリーダーや管理職になる人材が不足する可能性もある。

40代は15%


 県教育委員会が政令市を除く県内学校(国立、私立除く)についてまとめたところ、小学校では20代教員が26%と4人に1人に上り、全国の17%を大きく上回った。30代は33%と3人に1人を占め、全国の24%より10ポイント近く高かった。

 一方、ベテランの40代になると、全国の23%に対して県内は15%しかいない。50代も全国の34%に比べ県内は24%と少ない。

 中学でも同様の傾向がみられる。県内の中学では40代が13%と極端に少ない。高校・中等教育学校では40代がさらに少なく10%しかいないが、50代が52%と全国の41%を大きく上回り、バランスを欠いた年齢層構成となっている。

 このような偏りが生まれた理由は何か-。県教委によると、県内で人口が急増していた1970年代から80年代に教員採用が急増。その後は採用が絞られたことで人数の少ない年代層ができた。

 ベテランが減ると、かつては先輩から後輩へと伝えられた授業のノウハウが伝わらなくなる恐れがある。「授業力向上のために20年ほど前から、教員が互いの授業を見学し合う『授業見学』が小学校から始まり、中・高校に広がった。他の先生の授業に入り、見学して学び合う。授業後には『振り返り』を行い、ここはよかった、あそこは悪かった、と意見交換することもあります」と県教委教職員人事課。この授業見学がノウハウの伝承に役立っている。

 若手がベテランの授業を学ぶだけではない。近年では新たなアクティブ・ラーニングの手法を大学で学んできた若手教師の授業を、ベテランが見学して学ぶケースもあるという。

 ただ、40代が少ないことにより、同課では今後、グループリーダー的な役割を担う総括教諭や管理職である教頭、副校長、校長の人材が不足してくることを懸念している。

志望者の争奪戦も


 政令市の横浜市でも状況は似ている。同市教委は教員の年齢分布を公開していないが、「小中学校とも30歳前後が最大のピークとなり、50代後半に次のピークがある。中間層の40代が少ない『M字型』の年齢構成になっています」(同市教委教職員人事課)と説明する。

 若手教員を支援するために同市では「メンターチーム」と呼ばれる若手教員のチームを作り、先輩教員や同じ若手からアドバイスを聞いたり、悩みを相談できる仕組みを設けているという。

 同課が懸念するのは、今後の教員の人材不足だ。横浜などの大都市では既に需要のピークを越え、教員数の減少傾向が始まっている。しかし北海道や東北、九州といった地方都市では、しばらく教員需要が増え続けると予想されるという。横浜市の教員には地方出身者が多いため、今後、地方での教員採用が増えると、横浜市への志望者が減ってしまい「教員志望者の争奪戦」が起きるのでは、と懸念する。

 このため同市教委では数年前から、「横浜市公立学校教員募集」と題した冊子を作成。メンターチームや、クラス担任以外に児童生徒の課題に対処する「児童支援専任教諭」制度など、若手支援の仕組みを掲載してアピール。市教委職員が全国の大学を回って「若手支援に力を入れる横浜市の教師を目指して」とリクルート活動に力を入れている。

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