知られざる魅力普及 船の心臓部巡る 非公開ゾーン 見学ツアー開催|カナロコ|神奈川新聞ニュース

知られざる魅力普及 船の心臓部巡る 非公開ゾーン 見学ツアー開催

帆船日本丸

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 1930年の建造以来、練習帆船として船員教育を担い、横浜・みなとみらい21(MM21)地区で保存されている「日本丸」。激動の昭和期を乗り越え、84年の引退まで1万1千人以上の船乗りを送り出してきた。早ければ8月にも国の重要文化財に指定される運びとなったことを記念し、船体の非公開ゾーンを飯田敏夫船長(67)の案内で見学できるようになった。

 普段足を運べるエリアはマストや多くのロープがある甲板や航海船橋(ブリッジ)をはじめ、船内の実習生居住区や士官サロンなどに限られている。一方で、船の心臓部に当たるエンジンルームや船底にある倉庫、実習生らの作業スペースなどは建造時の様子をとどめているが、急な階段があるなど安全への配慮のため非公開としてきた。

 今年から年に数回、こうした非公開ゾーンを巡る見学ツアーを特別開催。エンジンルームには、池貝鉄工所(現・池貝)が国内技術で開発した国産最初期の船舶用ディーゼルエンジン2基が設置されている。万一の浸水を食い止める水密扉がエンジンルームからプロペラにつながるシャフトトンネルに導入されるなど、当時の最新技術が随所に見られる。

 造船技術の発展史も読み取ることができる。エンジンはディーゼル機関を採用する一方、操舵(そうだ)機の動力には蒸気機関と、蒸気機関からディーゼル機関への移行期だったことがうかがえる。建造当時は溶接技術が普及しておらず、船体を支える肋骨(ろっこつ)と外板や外板同士をリベット接合していることが確認された。

 飯田船長は「マストに登って帆(セール)を張る作業は実習生があえて人力で行うように設計されており、横浜で保存後も全ての帆を張る作業を350回近く続けている。船舶資格を持つ生きた船として保存されているのは世界でも極めて珍しく貴重だ」と強調する。

 重文に指定される見込みとなったことを記念して、帆船日本丸の航跡をテーマにした企画展が横浜市西区の横浜みなと博物館で開かれている。9月3日まで。

 日本丸は船員養成だけでなく、戦時中は石炭など緊急物資輸送、戦後は引き揚げ者の輸送や遺骨収集航海などの役割も果たした。重文に指定される図面類や航海日誌、機関長日誌などを展示し、建造以来87年間の航跡を紹介している。

 同館の志澤政勝館長(65)は「日本丸は氷川丸とともに、戦争や海運業の発展など社会の影響を大きく受けてきた。その船体が残されていること自体が奇跡的」と話している。

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