伝説の夏フェス@寿町(上) 会場移転も続く伝統
- 特報|神奈川新聞|
- 公開:2016/08/20 10:01 更新:2016/08/21 11:17
日雇い労働者や、さまざまな人生模様を抱えた人たちが寝泊まりする簡易宿泊所が集積する寿地区。現在は約6500人が暮らし、単身の高齢者が増えている。盆休みをふるさとで過ごせない人たちと一緒に楽しもうと、地域手作りの「寿夏祭り」の一環としてコンサートは開かれてきた。
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ブルーシートといす席、立ち見席を設けた100平方メートルほどの室内は、開演前から熱気が満ちていた。
ことぶき学童保育の出身者らでつくるKotobu☆Kids(コドブキッズ)&寿音冬夏組[otonagumi]がオリジナル曲を披露。歌うアコーディオン奏者・遠峰(とおみね)あこが「野毛山節」「竹田の子守唄(うた)」、オリジナル「すっぽんぽん音頭」で盛り上げる。常連ミュージシャンの寿[kotobuki]が沖縄民謡を弾き始めると大勢が踊り始め、熱気は最高潮に。第3回から出演しているフォークシンガー南正人がギターを手に、渋い歌声で締めくくった。
12年前から毎回訪れているホームレスの佐藤浩二さん(63)は、満足した様子だった。「フリーコンサートに来ると、夏の訪れを感じる。音楽を心ゆくまで楽しめるのはうれしいね」
例年に比べて制約が多かった。数々の歴史を刻んだ職安前広場は、「センター」と呼ばれた寿町総合労働福祉会館の建て替え工事のために使えなくなり、寿生活館の娯楽室に会場を移したからだ。
同じ4階にはシャワー室、炊事場、洗濯室などがあり、通常の利用者がいることから、例年の1割に当たる70人に入場を制限せざるを得なかった。