他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. スポーツ
  3. サッカー
  4. 川崎フロンターレ
  5. フロンターレが20周年に優勝したいこれだけの理由(上) 攻撃サッカーの一つのピーク

フロンターレが20周年に優勝したいこれだけの理由(上) 攻撃サッカーの一つのピーク

川崎フロンターレ | 神奈川新聞 | 2016年11月21日(月) 18:02

FC東京への移籍が決まっている大久保。川崎の攻撃サッカーのけん引役だ
FC東京への移籍が決まっている大久保。川崎の攻撃サッカーのけん引役だ

【カナロコスポーツ=佐藤 将人】J1川崎フロンターレは、23日にホーム等々力陸上競技場で鹿島アントラーズとのチャンピオンシップ準決勝第1戦に臨む。クラブ創設20周年の節目を、J1初タイトル獲得という最高の帰結で飾りたいのは当然のこと。ただクラブが「今年」にこだわる訳はそれだけではない。「シルバーコレクター」とも揶揄(やゆ)されてきたクラブが20周年に優勝したいのは、これだけの理由があった。

年間30ゴールが、なくなりそうだから



 攻撃の核であるFW大久保嘉人が、来季FC東京へ移籍する。昨季まで3年連続得点王になり、今季も15点をたたき出し得点ランク3位。川崎の看板である「攻撃的サッカー」を背負ってきたのは、間違いなくこのストライカーだった。

 加え、今季同じく15点を挙げて日本代表にも定着しつつあるFW小林悠の去就も危うい。神戸や鳥栖、G大阪などが川崎を上回る条件を提示。生え抜きに対しクラブ側も必死に契約延長に努めるが、選手生命の短いサッカー選手にとって、キャリアハイに稼げるだけ稼ぐのは、プロとして当然の判断でもある。


今季15得点を挙げて日本代表にも定着しつつある小林悠。他クラブからのオファーが殺到している
今季15得点を挙げて日本代表にも定着しつつある小林悠。他クラブからのオファーが殺到している

 この2人だけで今季は30得点。チーム全体が68点なので、実に4割以上が失われる可能性がある。そのベースを築いてきた風間八宏監督も退任が決まっている。懐刀としてチームを支えた鬼木達コーチが「風間路線」の発展的継続を掲げて後任を受けるが、点取り屋2人に匹敵する補強(もしくは若手の奇跡的な台頭)がなければ、かなり難しいかじ取りを余儀なくされるはずだ。

 加え、チームの心臓である中村憲剛も松坂世代の36歳。チーム最年長は長期離脱こそないものの、攻撃の起点をつぶしにくるハードマーカーに削られ、負傷はひっきりなしだ。満身創痍(そうい)の体を気持ちで動かしている。

 それでも弱音を吐かず年間9得点という結果を残し、若手をこれでもかと鼓舞する。感動的ですらある躍動を支えるぎりぎりの緊張が年間を通じて保たれたのは、どうしても優勝したい本人の思い、そして常に首位争いのただ中にあった今年こそのものだろう。

 もろもろの条件を総合すると、川崎フロンターレとして、また風間体制として目指してきた攻撃サッカーのピークが今年にあることは間違いない。だからこそ、絶対タイトルに帰結させたいのだ。


今季限りでの退任が決まっている風間監督
今季限りでの退任が決まっている風間監督

シルバーコレクターはもう嫌だから



 今季第1ステージを含め、J1で2位が4回。Jリーグ杯(ナビスコ杯)でも準優勝が3回。川崎のシルバーコレクターぶりは、その結果いまだ無冠であるという意味において、他クラブよりもはるかに重い意味を持つ。

 今季の第1ステージも最後の2試合を連勝すれば自力優勝というところで、最下位の福岡と2-2で引き分け、首位陥落。最終戦をものにするも、結局2位で終えてしまった。


第1ステージ残り2戦で連勝すれば優勝というところで、最下位福岡に引き分けて呆然とする川崎イレブン
第1ステージ残り2戦で連勝すれば優勝というところで、最下位福岡に引き分けて呆然とする川崎イレブン

 その福岡戦。0-2からどうにか引き分けたという凡戦ぶりが、さらに後味を悪くさせた。「本当にもう情けない。絶対に勝たなきゃいけない状況だった。フロンターレの弱さが出た試合」(小林悠)。誰に言われなくても選手自身がそのもろさをわかっている。

 優勝をさらっていった鹿島は、Jリーグ最多のタイトル獲得数を誇るいわば「優勝の仕方を知っているチーム」。選手、監督が入れ替わっていく中でも結果を出し続けるという意味では、やはりクラブに根付く伝統というものは引き継がれていく。であるならば、フロンターレにとってシルバーコレクターという伝統に終止符を打つことは、次の10年、20年の鍵を握るといっても過言ではない。

 くしくも、チャンピオンシップ準決勝の相手がその鹿島だ。第2ステージは11位に沈んだものの、強者のメンタリティーはここでこそ発揮される。鹿島をきっちりたたけるかは、フロンターレに課された“卒業試験”の第1弾と言える。


FC東京への移籍が決まっている大久保。川崎の攻撃サッカーの象徴的存在だ
FC東京への移籍が決まっている大久保。川崎の攻撃サッカーの象徴的存在だ
 
 

川崎フロンターレに関するその他のニュース

川崎フロンターレに関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

サッカーに関するその他のニュース

アクセスランキング