
元日本代表の中村憲剛が引退表明─。シーズン12連勝を飾った直後の11月1日、衝撃のニュースがサッカー界を駆け巡った。
同日午前のチームミーティング。緊急告知されていた記者会見に先立ち、中村は今季限りで現役を退く決断を涙ながらに仲間たちに伝えていた。クラブハウスの一室は重たい空気に包まれていたという。
「(中村が)『引退します』と言った瞬間、みんな泣き始めた」(登里)。「前日の試合ですごいプレーを見て、『この人を超えないと』と思っていたので涙が止まらなかった」(脇坂)。
午後の会見で18年目の大ベテランは、「必要とされる選手のまま引退したい」とプロ選手としての一大決心を語った。
慰留も意思固く
左膝の大けがから復帰し、40歳の誕生日と重なった前日の試合で決勝ゴールを決めたばかり。まだトップレベルでプレーできるのではないか。フロントと指揮官もその思いは一致していた。
緊急事態宣言前の3月下旬、まだリハビリ中だった中村からシーズン終了後の引退を告げられていた庄子強化本部長は、当時の心境を明かす。
覇権奪回(2)涙乗り越え集大成へ「憲剛さんと一緒に」
今季限りで引退する中村(中央)と喜ぶ川崎の選手たち=25日、等々力 [写真番号:426931]
G大阪戦で途中出場する中村(左)にキャプテンマークを巻く大島 [写真番号:426932]