英語で価値観を共有
言葉を選び 「この表現の方が伝わるかな」
「カバって英語で何だっけ?」「スマトラトラの生息地は?」。
プロジェクターに映し出された絶滅危惧種クイズに対して、生徒が口々に英語で答える。
これは、県立保土ケ谷高校の「コミュニケーション英語2」の授業である。トピックは、「ヤマネの生態」。日本のヤマネが森林伐採によりすみかが減り、個体数が減っていることを英文で学んできた。
授業では、外国語の力を身に付けるだけでなく、海外の文化や出来事にも目を向けてほしいという狙いから、教科書の内容を世界に絡めてクイズを出題した。
同校は、国際理解教育の推進を学校方針に掲げ、第二外国語としてドイツ語・フランス語・中国語・スペイン語の授業を選択することができる。加えて、多様な価値観や文化の違いの学習を教科・科目を越え、横断的に行うことで、国際理解を深めている。
「教科書には、ヤマネを守るべきだと書いてありますが、あなたはどう思いますか。理由とともに英語で意見を述べてください」。先生の問いに、一瞬生徒はきょとんとし、戸惑った。「教科書と違ってもいいんですか?」。自分の意見を述べる授業だと先生に言われると、生徒は目を輝かせて考え始めた。「この表現の方が伝わるかな」「これは根拠と言えるかな」。真剣に言葉を選び、どうすれば自分の意見を英語で適切に表現できるか考えていた。
賛成意見と反対意見が、黒板一面に並んだ。その意見を生徒が英語で伝え合い、やりとりを重ねる。「便利になるためには仕方ない」「自然と共存すべきだ」。お互いに自分の考えの理由を説明し合い、ディスカッションを重ねることで、生徒は外国語の力を身に付けながら、さまざまな価値観を共有していく。
教室で机を並べる同級生でさえ、育ってきた背景や考え方はいろいろだ。一人一人の違いを知り、自分の考えを深化させていく取り組みの積み重ねが、他者理解、そして国際理解につながっていく。
さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート
神奈川県教育委員会では、他にも各校の取り組みを「元気な学校づくり通信『はにい』」で紹介。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f420082/