学びのプロセス共有
生徒同士「どうやってその考えになったの?」
「2乗の公式使えないかな?」「ここの部分Aで置き換えられそうだね」「そのままで展開するよりこっちのほうがすっきりするね」。「数学1」の授業の一場面である。
「複雑な式を公式が使える形にしよう」という先生の「問い」に、生徒は「最低でも1人以上に教わる・教える」というルールで、懸命に頭を働かせて工夫する。「どうやってその考えになったの?」「私はこう考えたけど、あなたはどう考えた?」
生徒同士のやりとりは、答え合わせではなく、身に付けた知識を働かせ、答えに至るプロセスを共有し、学びを深めていくものとなっている。
「友達と同じ答えでもその答えに行きつくまでの過程が違うことに驚きました」
学びのプロセスを大切にした授業を展開するため、学習環境についてもさまざまな工夫が取り入れられている。その一つが、情報通信技術(ICT)機器の導入である。
教室には、電子黒板やタブレット、プロジェクターやスクリーンが配置されている。例えば、生徒の解答を電子黒板に映し、グループの発表をしていると、周りの生徒は、映し出された解答を指さし、「ねえ、ここ違うんじゃないの?」「いや、いいんだよ」と、自分たちの解答との比較を始める。ICT機器を利活用することで生徒の主体性が引き出され、問題に向き合う姿勢が生まれた。
「数学2」の「微分・積分」の授業では、グラフ作成ソフトを用いて、係数を変化させた時の変化をシミュレーションし、生徒同士で意見を交わした。生徒はグラフの変化を注視しながら議論を繰り返し、学び合いの中で協働して答えをつくり出していく。
振り返りには次のような言葉が並ぶ。「公式がどのように生まれたのかを考えるようになりました」「友達と考えを共有することで、難しい『問い』に対する答えを出せたのが本当にうれしかったです」。生徒は自らの学びを自覚し、自ら発見することの楽しさを実感している。
さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート
神奈川県教育委員会では、他にも各校の取り組みを「元気な学校づくり通信『はにい』」で紹介。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f420082/