小さな新人王・東克樹(1)「プロは無理」言われ続けた|カナロコ|神奈川新聞ニュース

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小さな新人王・東克樹(1)「プロは無理」言われ続けた

  • 公開:2018/12/02 02:00 更新:2018/12/06 21:08
  • 神奈川新聞

 名プレーヤーの証しであるレッドカーペットの感触をかみしめて、ゆっくりと歩を進めた。27日に、都内のホテルで行われたプロ野球のNPBアワーズの表彰式。新人王に選ばれたベイスターズの左腕、東克樹(22)は、トロフィーを手に「大変素晴らしい賞で光栄に思います」と声を弾ませた。
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 さらに続けた。「東はこの1年で終わった、と言われないように。存在を忘れられないよう頑張りたい」。茶目っ気たっぷりに抱負を語り、華やかな会場を笑いの場に変えた。

 294分の290票。得票率99%。ほぼ満票で手にした初タイトル。「2桁勝利」とともに、プロ入団時に掲げた誓いを現実に変えてみせたが、「どうせ無理だろうと思っていたんです。だから現実になって一番びっくりしているのは自分」と明かした。ただ、そんな言動とは裏腹に、プレーはやはり一級品だった。

 最速152キロの直球とチェンジアップ。抜群の制球力とピンチに動じない精神力を武器に、監督推薦でオールスターにも出場した。積み上げた勝ち星は11。しかし他球団に与えたインパクトはそれ以上だろう。

 巨人菅野、阪神メッセンジャー、楽天岸…。各球団のエース級と互角に投げ合う姿は、今季ふがいなかった先発投手陣の中で一筋の光明だった。

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 プロ初勝利から順調に勝ち星を伸ばしていた5月のこと。「おまえは考えながら野球をやっているな」。主将筒香の一言がルーキーの背中を押し、優勝を目指すベイスターズの一員である喜びを感じさせてくれたという。マウンド上で「打者が何を狙っているか」を常にイメージしながら投げてきた姿を、左翼から感じ取ってくれていたことがうれしかった。

 酷暑だった夏も乗り切り、ただ一人先発ローテーションを守り抜いた。大学時代、けがで泣いた時期があったからこそ、晴れの舞台で実感を込めた。「1年目から大きなけがなく投げ続けられたことが自信になった。小さい身長(体)でも長くプロの世界で生きていけるようになりたい」。背番号11の宣言は高らかだった。

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 4月5日、横浜スタジアムでの阪神戦。東の父直史(50)、母由紀(50)は三重県四日市市から駆け付け、長男のプロ初登板をスタンドから見守った。投げ合う相手はメッセンジャー。「ボコボコにやられるかなって心配していました」と、直史は本人以上に緊張しながらこの夜を迎えていた。


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