無限にある「幸せ」の形 【いろとりどりの親子】|カナロコ|神奈川新聞ニュース

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無限にある「幸せ」の形 【いろとりどりの親子】

  • 公開:2018/11/30 10:20 更新:2018/12/06 11:07
  • 神奈川新聞

 「普通」ではないとされる子どもにどう向き合うか。ゲイ、ダウン症、自閉症、低身長症、犯罪者の子と親の姿を丹念に描いた本作は、家族のありようという根源的な問いを見る者に投げ掛ける。
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 映画の語り手で原作者のアンドリュー・ソロモンは、ゲイである事実を両親に否定され、うつ病に苦しんだ。自閉症の少年は言葉を発せず、タイピングで思いを伝える。想像とは違う形で生を受けた子どもを前に、家族がそれぞれの不安や喜びを抱きながら、違いを認める過程が映し出されていく。

 低身長症の男性は言う。「みんな自分を見ると『さぞつらい人生だろう』と思う。僕が苦悩していないと知ると驚くんだ」。「幸せ」の定義を自分本位の基準で決めてかかってはいないか、自問せずにはいられない。

 堅物だった父はやがて同性のパートナーと結ばれる息子を祝福し、自閉症児の父は「親の想像を超えた存在」のわが子は「『普通』にならなくていい」と悟る。愛する子を思い流すひとすじの涙。その先に見据える希望。違いを受容した彼ら彼女らが見せる表情は正直で、温かい。

 「幸せの形は無限にある」。多様性を否定する言説を内外で耳にする今、ソロモンの言葉が力強く響く。内に潜む愚かな偏見に気付かせ、それを柔らかく剝がしてくれる傑作。


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