児童支援コーディネーター(上)必要不可欠な存在に|カナロコ|神奈川新聞ニュース

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児童支援コーディネーター(上)必要不可欠な存在に
教育現場2018

  • 公開:2018/07/02 13:31 更新:2018/07/02 22:36
  • 神奈川新聞

 全児童を対象に校内支援体制づくりの推進役となる「児童支援コーディネーター」が川崎市立の全113の小学校で配置されるようになってから1年が経過した。担任を持たず、学校全体を俯瞰(ふかん)する立場で、児童の異変や保護者への対応に目を配る教員だ。2012年に七つのモデル校でスタートしてから順次、拡充され、学校運営に不可欠な存在になっている。全国でもいち早く児童支援コーディネーターを「専任化」した川崎市の取り組みを見つめた。
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 「おはよう。その傘かわいいね」「おはよう。転ばないでちゃんと来られたね」

 朝8時。市立長沢小(麻生区)の正門には快活なあいさつの声が響く。声の主は同校の児童支援コーディネーター・鈴木優子教諭(58)。登校する児童に優しいまなざしを向けながら一人一人に語り掛ける。同時に、昨日と変わった様子がないか目を凝らす。

 「まずはあいさつ運動から。子どもの表情を観察したり、引き返そうとする子どもがいないかをチェックしたり。担任の頃より、子どもたち全体が見えるようになってきましたね」。コーディネーターになってすでに6年。「時間はいくらあっても足りない」と忙しい毎日を送る。

 従来の「特別支援教育コーディネーター」の役割を発展させ、川崎市では12年に7人を配置することからスタートした。不登校やいじめのほか、学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの児童が増加傾向で、対応を強化する必要から川崎市では専任化を進めてきた。

 長沢小に児童支援コーディネーターが置かれた13年に、鈴木教諭は当時の校長から指名された。「担任を持たないフリーな先生になるということを、イメージできなかった」と振り返る。

 児童支援コーディネーターは、担任に代わって午前に家庭訪問したり、授業に追いつけない児童を個別に指導する「取り出し授業」の時間割を組んだりと、その役割は多岐にわたる。保護者への対応や若手の指導、校内の連絡調整もある。

 創設当時の7人の児童支援コーディネーターの一人である同小の渡邊晴美校長(55)は「丁寧に児童の支援に関わることができるようになった。保護者対応も柔軟かつ迅速にでき、いなかった時代が考えられないほど」と、その役割の大きさを語る。

 各校で抱える問題は千差万別だ。同小では不登校や学校への「行き渋り」などの対策に重きを置いている。鈴木教諭は「大人にとってやりやすいのではなく、子どもにとって安心な学校をつくることが大切」と強調。担任の時はあまり意識しなかった「長い目でみて、6年間で子どもを育てる」ことを同僚らに伝えている。

 各校で存在感が増す児童支援コーディネーター。より実効性を高める模索が、先進地の川崎で続いている。

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