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離婚後の親子関係(上) 最善へ子の思い尊重

  • 公開:2017/07/19 16:16 更新:2017/07/20 16:14
  • 神奈川新聞

 離婚が珍しくない現在、対立する両親の間で子どもの意思は置き去りにされがちだ。「一人の人間として尊重し、思いに耳を傾けてほしい」「子どもが自分で考え、選択できることが大切」。6月末、千葉市内でシンポジウムが開かれ、両親が離婚した8人がそれぞれの経験を振り返った。いかに子どもの意思をくみ取り、最善を実現するか-。シンポジウムでの言葉を中心に、親子や家族のありようを見つめてきた子どもたちから大人、社会へのメッセージを伝える。 
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「好きだから、選べない」 



・川崎市麻生区の女子大生(19)
・離婚時は8歳 
・父と毎月、母とは年に2~3回会う
・1人暮らし


 親と子どもは意見が違う。だから、子どもの気持ちを分かった気にならないでほしい。

 「どっちが好き?」「どっちと暮らしたい?」。離婚前に両親のけんかが増え、双方から別々に聞かれた。父に聞かれたら「パパ」。母なら「ママ」。父も母も大好きだから、本当は選べない。相手の悪口をそれぞれから聞いていたから、その気持ちを言えなかった。家庭内で八方美人になっていた。

 離婚後に暮らしていた母が、小学5年の時に再婚。母と再婚相手の間に子どもができ、疎外感を感じて、さみしかった。母が嫌な顔をすると感じ取って、父と連絡を取るのをやめた。新しい家で居場所がなくなると思ったから。

 でも、思いは消えない。父に会いたかった。「お父さんと暮らしたい」。覚えていた番号に勝手に電話をかけて伝えた。5年ぶりの父は電話越しに「いろいろ手続きしよう」と言ってくれた。

 「絶対ママと暮らした方が良いのに」。勇気を出して、父と暮らしたいと母に伝えた時、最初は聞いてももらえなかった。再婚相手にも伝え続け、3カ月ほどたって「そこまで言うなら」と理解してもらった。高校1年の時に父との生活が再スタートした。本当にありがたかった。

 だからこそ、しつこいくらいにもっと私の思いを聞いてほしかった。ぐいぐい来てほしかった。

 本当はずっと、父と母に離婚しないでほしいと思っていた。でも今は「これで良かったんだ」と思える。お互いが幸せそうにしている姿を見ているから。

 今も親権は母。ずっと私を育ててくれた母、「何で今更」とも言わず私を受け入れてくれた父。どちらにも、本当に感謝している。

 今はまだ学生でリアルではないけれど、家族というものには人一倍、憧れもコンプレックスもある。

「思い聞いてほしかった」 


・離婚時は21歳 
・父と時々会う。母とは会っていない 
・1人暮らし 
・川崎市多摩区の女子大学院生(23)

 「子どものため」。父はよくそう言っていた。でも、子どもの幸せのために何ができるのか、まずは子どもの思いを聞いてから考えてほしかった。

 家族4人。小学生の時は旅行によく出掛け、常に笑いが絶えなかった。中学に入ると両親の関係が悪化し、高校2年の時に母の不倫に気付いた。

 父を傷つけると思い、何も言えなかった。中学1年から続けていたバスケットボールは、身が入らなくなりやめた。退部、家出、母とのけんか…。何かメッセージを発しようと必死だった、と思う。

 「子どものために(母のことは)許そうと思う」。父に言われた。本当は自分が一緒にいたいならば、そう言えば良いのに。離婚は世間体が良くないとも言う。「子どものため」と言いながら、結局は自分を守ろうとしていると思った。

 子どもの思いを聞いていないのに、子どものための選択ができるとは思えない。離婚まで10年ほど会話のない家。子どもとして、というよりも一人の人間として、それぞれが幸せになれる道を考えて、もっと早く決めたかった。

 母は子どもを自分の支配下に置きたがる人。嫌いではないけれど、私は自分自身で生き方を見つけたい。母と離れることが、自分の幸せにつながると今も思っている。

 「もう会わない」。大学4年の時、母にメールを送った。「会いたい」と連絡は来る。でも会わない。会いたいと思った時、自分から会いに行くと決めているから。

 今は大学院で臨床心理学を学び、家庭裁判所の調査官を目指す。不登校や家庭のことで悩む若者の学習支援、面会交流支援などの経験も重ねる。

 家庭はその人の人生にとって大きなもの。困難に直面する人が、前に進んでいける方法を一緒に探せる人になりたい。自身の経験は、自分のやりたいことにもつながっている。そして、温かい雰囲気の家庭をつくりたいと思う。
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