シニア独身女性の生活調査(上)「長生きはリスク」|カナロコ|神奈川新聞ニュース

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シニア独身女性の生活調査(上)「長生きはリスク」

  • 公開:2017/07/10 15:00 更新:2017/07/10 15:13
  • 神奈川新聞

 50歳以上の独身女性を対象にした「中高年齢シングル女性の生活状況アンケート」の結果がまとまった。就労率は高いものの半数以上が非正規雇用で、就労収入が200万円未満の人が4割を超える。自分の健康や子どものことなど、抱えているさまざまな問題が浮かび上がった。
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 東京都八王子市の女性(53)は、契約社員として働いている。43歳の時に離婚、2人の子どもと生活してきた。長女(24)は独立したが、長男(21)はまだ学生で、「働かないといけない。自分のことを考えている場合ではない」という。

 23歳で結婚した夫は転勤の多い仕事だったため、女性が働くことは難しかった。ドメスティックバイオレンス(DV)などがあった夫と離婚が決まった時、子どもは中学生と小学生。当時、月2万円程度のパートをしていたが、「これでは食べていけない」とフルタイムの派遣社員として働き始めた。

 勤務先は保険会社のコールセンター。大変なことも多かったが「ここにいるしかない」という思いで9年勤めた。子どもはともに大学に進み、夫から養育費は受け取っていたものの、教育費は右肩上がり。貯蓄をする余裕はなかった。子育てが一段落したのを機に転職したが、「何度も採用試験に落ちた」という。

 今の職場は、週5日、1日7時間の勤務。時給は前職よりも下がった。目の前のことが不安で、老後など、これから先のことは「怖くて考えたくない」という気持ちになる。友人と、「死ぬまで働く」という話になることもある。「せめて、1カ月に最低これだけの金額は保障する、というような制度があればいいのに」と話す。

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 調査を行ったのは、民間団体「わくわくシニアシングルズ」。シングルマザーの団体で知り合った女性たちが、2015年に立ち上げた。代表の大矢さよ子さん(66)は、「子どもも大きくなり、自分の問題に立ち返ろうと思った。老後の年金も少なく、生き延びる知恵を分かち合おうと集まった」と話す。調査は、中高年のシングル女性の問題に関心が払われていないことを受け、どのような生活の課題を抱え、どういった支援を必要としているかを明らかにすることで、解決の方策を探ろうと実施した。

 回答者は50歳以上の女性530人。働いている人は74・9%と高く、50代は87・1%、60代でも69・7%に上る。

 だが、そのうちで正規雇用の人は26・7%にとどまり、パートや派遣社員といった非正規雇用が50・4%と半数を超えた。自営業・フリーランスは18・6%だった。働いていない人は25・1%だったが、そのうち「自分の健康上の理由で働けない」30・1%、「失業中・休職中」21・1%と、職に就きたいと思いながらも働けない人が多かった。

 働いている人の就労収入は、100万円未満が18・4%、100万円以上200万円未満が23・4%、200万円以上300万円未満が22・4%と、約65%が年収300万円未満となっている。雇用形態別に見ると、正規雇用で年収300万円未満なのは25・5%だが、非正規では85・5%、自営業・フリーランスでは67・7%。中高年シングル女性の間でも、正規雇用とそうではない人で格差があった。

 年金を受給していると回答したのは145人。金額は5万円未満が8・3%、5万円以上10万円未満が40・0%、10万円以上15万円未満が29・0%だった。「いつまで働かないといけないと思うか」という問いには、68・8%が「働ける限りはいつまでも」と回答した。

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 仕事や生活に関する自由記述には、厳しい現状や将来に対する不安など、生々しい言葉が並んだ。

 「30代で離婚後、パートを常時2、3カ所掛け持ちして働き子どもを育てた。厚生年金、国民年金を滞りなく納めたが、65歳で支給されている年金は月額9万円未満」(60代)、「高齢者のリスクは不健康な長寿。特にシングルは身元引受人などを探すのも難しく、経済的にも大きなリスク」(50代)、「女性の仕事はパート、派遣などの非正規しかない。長年働いても、もらえる年金は生活保護と同じ程度。体がくたばるまで働かないといけない」(60代)。「生活がたちゆかなくなったらどうするか」という設問には、複数の人が「そうなる前に死ねることを切望している」といった回答を寄せた。

 大矢さんは「これだけ労働の問題がはっきり出たことには驚いた」と話す。

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 結婚や出産を機に仕事から離れる女性は少なくない。だが、再度働こうとしても正規雇用は難しく、パートやアルバイトなどの非正規雇用を選ばざるを得ない。「独身の人も母子家庭の人も、...

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