JR大磯駅から平塚市民病院(平塚市南原)に向かう路線バスの実証運行が今月スタートした。同病院に通院する地元住民の増加を背景に、神奈川中央交通の既存路線を延伸した新ルート導入を検討する。来年3月末まで実施し、需要が確認されれば本格運行を目指す。
実証実験に使うのは、他の公共交通の空白地帯の大磯町富士見地区を経由して大磯駅と二宮駅をつなぐ既存路線。普段は小中学生の登下校や通勤、買い物などの際に利用され、地元住民の生活の足となっているが、赤字路線で町が毎年約2千万円を補塡(ほてん)している。
この路線の平日午前7時35分に二宮駅を出発する1便を実証に使う。大磯駅で折り返さず、国道1号や県道62号を通って同8時36分に同病院に到着する。
同病院からの折り返し便は、午後の運行も検討されたが、下校時間帯と重なるためダイヤの調整が難しく、実証運行を見送った。
沿線には東海大学医学部付属大磯病院があるが、診療科が多い平塚市民病院に通院する町民も多く、町都市計画課によると、毎月延べ約千人に上る。公共交通機関を利用する町民は電車やバスを乗り継いで通っており、町は昨年8月以降、利便性の向上を目指し、同社と路線バスの再編を検討していた。
実証運行のバスを利用した同町に住む主婦(62)は「平塚市民病院にバス1本で行けるのは便利。1時間に1本くらいは運行してほしい」と要望する。同課は「ニーズを確認した上で、より良い公共交通を考えたい」としている。(武藤 龍大)