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相模原殺傷事件 死刑判決1年
共生の実相(中) 亡き師の直筆の句 エールに 

社会 | 共同通信 | 2021年3月23日(火) 05:00

 病室で年老いた脳性まひ者の俳人、花田春兆が眠っていた。二松学舎大准教授の荒井裕樹(40)は仕事が忙しく、見舞いに訪れても顔を見るだけの日が続いた。発語が衰え、聞き取りにくくなった言葉を、ベッドの上で何度も言い直す姿に、申し訳なさが募った。

 2017年5月、電話で訃報を知った。享年91歳。俳号通りの春の日に、雨が降っていた。

 文学仲間、障害者運動家─。最後の別れを告げるため、葬儀には多くの人が集まった。荒井はひつぎの中で横たわる花田に心の中で話し掛けた。「育ててくださってありがとうございます。本当にお疲れさまでした」

 出会って間もないころ、外出先でサンドイッチの包装フィルムをむき、花田の目の前に置くと、「いや、割ってよ」と言われた。あきれたような表情を浮かべた顔に「食べさせてくれって分かるだろ、気が利かないな」と書いてある気がした。

助けを求めるのは信じているから

 
 

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