東日本大震災、そしてミャンマーの民政移管からまもなく10年。被災地支援に赴いた在日ミャンマー難民の男性が当時を振り返り、軍事クーデターに見舞われた祖国の未来を語る。
駅前の大通りから脇道に入った住宅街の一角に、ミャンマーレストラン「ルビー」はたたずむ。ドアを開けると、柔和な笑みが迎えてくれた。「いらっしゃい。久しぶりですね」。来日30年のミャンマー難民チョウチョウソーさん(57)が厨房(ちゅうぼう)で片手を上げていた。
「リトル・ヤンゴン」。ミャンマー人が集住する東京・高田馬場は、いつしかそう呼ばれるようになった。
ランチタイムを終えた昼下がり。照明を抑えた店内でチョウチョウソーさんから笑顔が消えた。「真っ暗だったあの時代に戻ってしまう。そう思いました」
軍政から民政へと移管して10年。軍のクーデターが勃発し、軍政が再び現実味を帯びている。