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自転車記者が行く・100円玉を握りしめ

話題 | 神奈川新聞 | 2016年10月20日(木) 15:42

文具店クリップスの山本真弓さん。一般的な文具に加え、女の子の心をくすぐるものがそろっている =川崎市中原区
文具店クリップスの山本真弓さん。一般的な文具に加え、女の子の心をくすぐるものがそろっている =川崎市中原区

 店先に自転車が並んで。女の子が楽しそうに品定めしていて。どこにでもありそうで、実はあまりなさそうな。JR平間駅の先にある文具店「クリップス」(中原区北谷町)はなんだか温かくて、どこか懐かしい気持ちになる店だ。

 昔は日用雑貨を扱う商店だった。1970年ごろに「フジヤ文具」として生まれ変わった。「父が決めたんですが、近所に学校があるし、通学路でもあるからでしょう」。山本守弘さん(57)は3代目。20年前、大改装した。「来て楽しい店にしよう」というコンセプトを決めた。

 ハロウィーンだから天井からは手作りのお化けがぶら下がり、スタンプカードのスタンプは雨の日とベイスターズかフロンターレが勝った翌日は2倍になる。隙間なく並んだキャラクターグッズに「プチ手芸品」、プレゼント交換にもってこいの品々にバースデーカード。絶妙に、子ども心をくすぐるものばかりだ。

 女子のお買い物好きの一歩目をつくるのは、こういう店なんだろうなあ。お店番の妻・真弓さん(52)が言う。「昔はどの商店街にもあったんですけどね」。駄菓子も置いてあるから、小学生のたまり場になる。午前8時の開店時間も、「買い忘れたものを学校に行く前に買えるようにね」。こういうさりげない寄り添い方が、愛される秘訣(ひけつ)なんだろうな。

 商店街にはシャッターを下ろした店も多い。文具店もやはり減った。コンビニに100円ショップ、ネット通販と競合相手は限りない。電車に乗れば川崎も武蔵小杉もすぐだ。

 「うちは親が安心して行かせられる店にしたい。それとワクワクドキドキね」と社長。100円玉握りしめて、放課後に友達と。日が暮れて街にメロディーチャイムが流れたら、バイバイして。そんな何げない思い出に刻まれるのは、こういう店の気がする。

 2013年春まで横浜を疾走していた「自転車記者」が今度は川崎を走り回っています。佐藤将人と塩山麻美が担当します。歴史ある店、面白い人、変わった人、街の不思議…。何でも結構ですので情報提供、大歓迎。連絡先を明記の上、ファクス044(211)0555まで。

 
 

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