内閣不信任案をめぐる民主党内の激突は菅直人首相の「辞任表明」で、2日の採決直前に回避された。しかし、辞任時期は玉虫色で火種は依然くすぶり続ける。東日本大震災への対策のさなかに小沢一郎元代表、菅首相、中間の3派に分かれ奔走した同党の県内議員は、党分裂回避にほっとした表情ながらも、新たな対立を懸念。厭戦(えんせん)感も漂っている。
「私たちが一致結束したので菅首相から辞任の約束を取り付けられた」。小沢元代表支持の新人議員グループ「北辰会」の設立メンバー・岡本英子氏(3区)は議員会館から本会議場へと向かった。笑顔はなく厳しい表情。辞任の時期が表明されていないことには「即時がベストだが、何よりも『辞任』との約束を守ってほしい」とくぎを刺した。
比例単独議員16人で「菅降ろし」ののろしを上げた相原史乃氏(比例南関東)は「大震災の中で国会を会期通りに閉めようと思うような、リーダーシップのない人についていく限界を誰もが感じていた」と採決後に回顧。菅首相に対し「小沢元代表を含め、挙党態勢をどうつくっていくのか、ぜひ説明してもらいたい」と注文を付けた。
小沢元代表の政治集団「一新会」メンバーだが、今回は中間派の樽床伸二元国会対策委員長と行動を共にしてきた笠浩史文部科学政務官(党県連代表、9区)は「野党が出す不信任案に反対することと、今の党執行部を認めるかは別の話」と断言。「不信任否決イコール信任ではない」との見方を示した上で、「挙党態勢をつくれなかった責任は問うていく」とした。
菅派議員の疲労の色は濃い。日々の野党対策に加えて党内の事態収拾に追われた斎藤勁国対委員長代理(比例南関東)は「党が割れたら野党を利するだけ。政策を進めていく上でも衝突が避けられてよかった」とほっとした表情。その一方で「ここ1週間のごたごたは何だったのか」と首をかしげた。
「政治とカネ」の問題をめぐり小沢元代表を批判してきた首藤信彦氏(7区)は「この際、ここで決着をつけるべきだった」と落胆。「いずれ同じような対立が繰り返される」と厭戦感をにじませた。三村和也氏(比例南関東)は「国民不在で永田町の論理だけで政局をしている状況が情けない」と反省を口にした。
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