箱根町強羅で旅館を営む60代の男性は「この1年余り、災害対策の必要性を強く意識させられた」と話す。自身も昨年10月の台風19号被害による箱根登山鉄道の運休の影響で客足が減り、頭を悩ませた一人だ。
町は昨年から立て続けに自然災害に見舞われ、防災は最重要課題の一つだ。昨年5月には箱根山の噴火警戒レベルが引き上げられ、大涌谷への立ち入りが同年11月まで終日規制された。台風19号では連続雨量が観測史上最多の千ミリ超を記録。町内各所で土砂崩れや浸水被害が発生し、同鉄道は箱根湯本─強羅間で約9カ月にわたり運転休止を余儀なくされた。
温泉地である箱根は、火山の恩恵を受ける一方で、その活動や山間部特有の地形によるリスクと切り離せない関係にある。
転機の箱根(下)防災 風水害の備え万全に
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大雨を受け放流する芦ノ湖の湖尻水門。県と連携した治水対策が課題となっている=7月、箱根町仙石原 [写真番号:380120]