任期満了に伴う伊勢原市長選が20日投開票され、現職の髙山松太郎氏(70)=自民、公明推薦=が、新人で元市議の小林京子氏(68)=共産推薦=を破り、3選を決めた。
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2期8年の「髙山市政」の評価が主な争点になった。新型コロナウイルス感染症への対応を巡っても両氏が舌戦を展開した。
髙山氏は「伊勢原の経済を回し、市民の命と暮らしを守っていきたい。多くの人に選ばれる街を目指す」と主張。財政再建や「大山詣(まい)り」の日本遺産認定などの成果を強調しつつ、新東名高速道路伊勢原大山インターチェンジ周辺の企業誘致を公約に掲げ、地元政財界から幅広い支持を得た。
小林氏は「『お金がない』と言って市民の要望に背を向けている」と現市政を批判。教育や福祉、子育て支援の充実を訴えたが、及ばなかった。
投票率は36・50%で、選挙戦となった前々回を6・43ポイント下回った。当日有権者数は8万2855人(男4万2002人、女4万853人)。
髙山松太郎氏の横顔 県立平塚農高卒。家業の農業に従事した後、1991年から伊勢原市議を4期務め、議長などを歴任した。2007年には県議に転身。12年の前々回選挙で財政再建を訴え、現職らを破り初当選した。座右の銘は「一期一会」。妻と2人で暮らす。70歳。
髙山氏、3期目に引き締め「経験生かす」
髙山松太郎氏の事務所では、午後時過ぎに当選確実の報が届くと大きな拍手と歓声が起きた。髙山氏は一人一人と握り拳のタッチで喜びを分かち合い、引き続き市政のかじ取り役を担う重責に気を引き締めた。
「新たな街づくりの前進」を掲げ、5月に出馬を表明した髙山氏。一時は無投票の可能性も取りざたされたが、8月下旬に元市議の新人候補が名乗りを上げ短い選挙戦に突入した。
告示後は市議時代から世話になった地域を丹念に回って2期8年の実績をアピール。保守系を中心とした市議も連日応援に入って市政の継続を訴え、有利な戦いを展開した。
万歳三唱で3選を祝った髙山氏は「(コロナ禍で)市の予算が来年、再来年は本当に厳しくなる。だが、初当選の8年前を思い出しながら、経験を生かして街づくりを一つ一つ進めたい」と決意を新たにした。
新人小林氏及ばず 「低投票率は残念」
小林京子氏は落選が確実になると、同市高森の事務所で悔しさをにじませた。
小林氏が出馬を正式表明したのは告示まで3週間を切った8月28日。教育や福祉の推進を訴えて現職の批判票の受け皿となることを目指したが、準備期間の短さは否めず、強固な支持基盤を持つ現職の牙城を崩すには至らなかった。
小林氏は「もう少し得票できるかと思った。応援してくれた皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱい。若い人たちが訴えに応えてくれた感触があった。投票率が低かったことは残念」と語り、肩を落とした。
【解説】コロナ禍の税収減、試練の3期目
伊勢原市長選、髙山氏が新人退け3選
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支援者らと万歳をして当選を喜ぶ髙山松太郎候補=20日午後10時10分ごろ、伊勢原市伊勢原の選挙事務所 [写真番号:350743]
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祝いの花束を受け取って笑顔を見せる髙山松太郎氏=伊勢原市伊勢原の事務所 [写真番号:350753]
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「支援していただいた方には申し訳ない」と話す小林京子氏=伊勢原市高森の事務所 [写真番号:350754]
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一斉に始まった市長選の開票作業=20日午後9時ごろ、伊勢原市西富岡の市体育館 [写真番号:350656]