平安末期から現代まで続く、天皇の健康と国家安泰などを祈る真言密教の門外不出の秘法「後七日御修法(ごしちにちのみしほ)」。これを古文書や仏画で振り返る特別展「中世密教と〈玉体安穏(ぎょくたいあんのん)〉の祈り」が、県立金沢文庫(横浜市金沢区)で開かれている。秘法を通じて天皇家と真言宗の結び付きに光を当てる。
後七日御修法とは9世紀、真言宗の開祖・空海が中国から持ち込んだ密教の儀式。宮中に真言院という建物を造り、壁に仏教思想を描いた曼荼羅(まんだら)や不動明王像などの仏画の掛け軸を掛け並べ、天皇の健康などを7日間通して祈った。玉体とは、天皇の体のこと。
特別展では、秘法で用いられた曼荼羅や仏像の写し、式次第が書かれた巻物など、国の重要文化財60点を含む89点を展示している。
見どころは「後醍醐天皇像」の掛け軸。藤沢市の遊行寺が収蔵する肖像の複製で、頭に天皇のかぶり物をいただき、袈裟(けさ)をまとって真言密教の仏具を握っている。「当時の天皇が王法と仏法の世界に君臨したことを明確に示す一枚です」と、西岡芳文学芸課長は話す。4月8日から実物を展示する。
4月20日まで。大人400円(20歳以上、学生除く)。問い合わせは県立金沢文庫電話045(701)9069。
【神奈川新聞】