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演劇的構図意識し映像で表現  KAAT「さわひらき 潜像の語り手」

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年11月22日(木) 11:27

一貫したテーマではなく「その時々で自分が気になっていることをやっている」と語るさわひらき=KAAT
一貫したテーマではなく「その時々で自分が気になっていることをやっている」と語るさわひらき=KAAT

 英国・ロンドンを拠点に活動中の映像作家さわひらき(41)の個展「さわひらき 潜像の語り手」が、横浜市中区のKAAT神奈川芸術劇場で開催中だ。劇場で作品を披露するに当たり、さわは「演劇的なコンポジション(構図)にこだわった」と語る。

 新旧約10点のビデオ映像を、L字形の壁の表裏4面や天井から下げたカーテンなど、複数のスクリーンで上映する。60分間の上映を繰り返すが、表裏で同時に始まる作品もあり、全てを一度に見ることはできない。鑑賞者はその場にとどまったり、移動したりして、記憶に残る像やまだ見えない像に思いをはせる。

 「ここでこの映像がきて次はこれで、と演劇的なコンポジションを考えた。音を頼りにたどることもできる。途中から見ても構わないが、毎時スタートなので、そこから見始めると、僕が気に掛けてつくった構図を楽しめる」とさわ。

 小さな木馬が洋室の中を延々と進んでいく「Going Places Sitting Down」や、若い頃くも膜下出血で倒れたさわの祖父の治療のため、金沢から能登半島まで船で氷を運んだ実話に基づく「Fish Story」など、現実と虚構が巧みに混じり合った幻想的な映像が魅力。郷愁を感じさせるとよく指摘される。

 「経験したことがビジュアルとして残るとすれば、過去の経験から僕も作品を作るので、見る人が共鳴して懐かしい、楽しいと思うのだろう。何かを生み出すことは、記憶をたどることかもしれない」

 初めてダンスとコラボレーションし、舞台構成と美術を手掛ける舞台「silts-シルツ-」も行う。さわの同名映像作品から着想したイメージを元に、ダンサーの島地保武が演出、振り付けを行い、酒井はなとともに出演する。

 「島地さんは体を動かさないと作品ができないそうで、僕もカメラを持って外に出て撮りためたものから作品を作っていくので、作り方が似ている。とても楽しみです」

◆「さわひらき 潜像の語り手」展は12月9日まで。一般700円、学生と65歳以上500円。12月1、2日の午後2時と4時から、リーディングパフォーマンス「最後の物たちの国で」を会場で行う。出演は神保悟志、はな、脚本・演出は白井晃。問い合わせはKAAT電話045(633)6500。

◆「silts」は11月23~25日、KAAT大スタジオ。23、25日は午後3時開演、24日は午後3時と7時開演の2回公演。チケットは全席自由4千円。問い合わせはチケットかながわ(0570)015415。

 
 

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