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劇団「地点」がロシアの古典劇「三人姉妹」

カルチャー | 神奈川新聞 | 2019年7月5日(金) 19:58

「友人の演出家も先日、一時拘束された。演劇と政治は密接だ」とロシアでの経験を語る三浦基=横浜市中区
「友人の演出家も先日、一時拘束された。演劇と政治は密接だ」とロシアでの経験を語る三浦基=横浜市中区

 KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)と共同制作を続ける劇団「地点」が、ロシアの古典劇作家アントン・チェーホフの代表作「三人姉妹」を同劇場で上演中だ。演出家の三浦基は「チェーホフ作品の中で桁違いに面白い」と話す。

 精神的枯渇を満たすために田舎から大都会のモスクワを目指す。平和な時代に軍人たちの持て余した力が爆発する-。三浦はそこに「現代に訴えうる切実さや普遍性」を見る。舞台を動き回り、原作の言葉を細切れにして捉え直す地点独自の演出が、作品を現代のものとして再構成する。

 三浦は来年、ドストエフスキーの「罪と罰」を作品の舞台でもあるロシア・サンクトペテルブルクで、国立ボリショイ・ドラマ劇場のレパートリーとして制作する。数々のロシア文学を舞台化し、ロシアでの制作経験も豊富な三浦は、かの地の劇場文化を「日本の吉本新喜劇が毎日満員なのと同じ」と例える。

 学校教育で古典文学を学び、作品の内容を熟知している観客。加えて、今も言論統制が厳しいロシアでは、かつて革命の力ともなった演劇が、日頃言えないことを代弁する“避難所”の役割も担う。その切実さが、演劇に対する支持の源だと三浦は考える。

 一方で、日本ではロシア文学への共通理解は必ずしも深くないが、三浦にとってそれがむしろ「スリリング」に思える。文学作品としてでなく、俳優が体を動かし、言葉を発するという演劇そのものを観客が面白がり、劇場が盛り上がるのを感じられるからだ。

 チェーホフが1890年にシベリアを横断した旅に着想した「シベリアへ!シベリアへ!シベリアへ!」も今月上演する。紀行文「シベリアの旅」や短編小説、手紙などを再構成した地点オリジナル作品だ。



 「三人姉妹」は11日まで(8日休演)、「シベリアへ-」は13~16日。料金は各3800円、2演目セット券は7千円。問い合わせはチケットかながわ☎(0570)015415。

 
 

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