【2021年7月16日紙面掲載】
学校でのいじめと熾烈(しれつ)な受験戦争を正面から取り上げ、過酷な状況で出会った少年と少女の魂の交流を描く。
大学受験を控えた高3のチェン・ニェン(チョウ・ドンユイ)は優等生。ひどいいじめに遭うが、同級生たちは無関心を装う。
路上で集団暴行を受けるチンピラのシャオベイ(イー・ヤンチェンシー)を助けたことで、孤独な心を抱えた2人の奇妙だが純粋な関係が始まる。
後半はミステリーな展開。迫真の演技に心を打たれる傑作。デレク・ツァン監督。2時間15分。横浜のシネマ・ジャック&ベティで16日から上映。
!…子役からアイドルとして活躍するイーの目力が印象的。終盤で下す2人の決断に涙。
【竜とそばかすの姫】仮想と現実で成長する少女
【2021年7月16日紙面掲載】
日本の田舎と仮想世界の組み合わせという、細田守監督ならではの世界観を堪能できる。高知で暮らす高校生のすずは幼い時に母を亡くして以来、歌えなくなった。
だが、世界50億人が集うネット上の世界「U」では、美しい歌姫「ベル」として人気者に。傷ついた乱暴者の「竜」と出会ったすずはその正体に迫り、現実でも力になろうとする。
たけだけしく振る舞う異形の者と姫とくれば思い浮かぶが、細田版「美女と野獣」の趣も。すず役のミュージシャン中村佳穂の歌声はさすが。2時間2分。横浜ブルク13などで16日から上映。
!…佐藤健による竜の声がすてき。合唱隊の女性たち等、意外なキャストが楽しい。