19日からTOHOシネマズららぽーと横浜などで上映。
「ミナリ」とは、韓国語で香味野菜のセリのこと。水辺でたくましく茂る姿に、1980年代の米国を舞台に、豊かな生活を夢見て、必死に生きる韓国系移民の家族を重ねる。
ニワトリのひなの鑑別士として働くジェイコブ(スティーブン・ユァン=写真右)は、農場経営の夢を実現しようと、アーカンソー州に土地を買い、家族4人で引っ越してきた。
家がトレーラーハウスだと知り、妻モニカ(ハン・イェリ)は怒る。幼い息子デビッド=同左=は心臓に病を抱えており、病院から遠いのも気に入らない。娘のアンはそんな母親を気遣い、夫婦げんかを仲裁する。
夫婦は、子どもたちの面倒を見てもらうため、モニカの母スンジャ(ユン・ヨジョン)を韓国から呼び寄せる。
持参したセリの種を林の中の水辺にまいたり、口汚く花札をしたり、と一風変わったスンジャに、「おばあちゃんらしくない」とデビッドは戸惑う。
この祖母と孫が、良き相棒となる様子がほほ笑ましい。「走っちゃだめ」と常に注意されるデビッド。幼いなりに死の恐怖を知っており、スンジャが「絶対に死なせないよ」と抱きしめる場面は胸に迫る。名優ユンなくして、本作は成り立たない。
農場はトラブル続きで夫婦はけんかが絶えず、追いこまれていく。ラスト15分のまさかの展開に、家族の生きる力を見せつけられた。
監督・脚本/リー・アイザック・チョン
製作/米国、1時間56分