19日からT・ジョイ横浜などで上映。
ゲームやアニメのみならず、アイドルやディズニーランドなど、ある分野に入れ込む「オタク」がポジティブなイメージになって久しい。応援している人・ものを表す「推し」、そのイベントに行き、グッズを購入する「オタ活」などのオタク用語も市民権を得つつある。そんな「推し」がくれた仲間との、くだらないようでいとおしい日々を描いた青春映画。原作は劔樹人(つるぎみきと)による「あの頃。男子かしまし物語」。
2000年代初頭、フリーターの劔樹人(松坂桃李)=写真左から3人目=は恋人もお金もなく、すさんだ生活を送っていた。そんなある日、松浦亜弥のミュージックビデオを見た彼は強い衝撃を受け、モーニング娘。ら「ハロー! プロジェクト」に所属するアイドルを追いかけるようになる。
彼女たちを応援する仲間と出会った彼はサークルを結成。バンドを組んで彼女たちの楽曲を演奏したり、イベントを開催したりするなど充実した日々を送る。しかし彼らはそれぞれ、アイドルより大切なものを見つけ始め、別れの日は近づきつつあった。
愛すべき仲間と、時には衝突しながら成長を遂げていく主人公を松坂が繊細に表現。さえない青年が「推し」との出会いをきっかけに、大切なものを手にしていく様子はまさに「尊い」。彼らとの日々はおかしくも切なく、特に仲野太賀=同4人目=が強烈な存在感を発揮している。
監督/今泉力哉
製作/日本、1時間57分