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服部宏のシネマパラダイス
膨大なせりふの“激論ドラマ” 「シン・ゴジラ」

カルチャー 神奈川新聞  2016年08月11日 09:55

(C)2016 TOHO CO.,LTD.
(C)2016 TOHO CO.,LTD.

 「シン・ゴジラ」で、本家12年ぶりの復活だ。ゴジラの造形より、未曽有の事態に苦慮する政府や関係者の群像劇が圧巻。せりふのある役だけで328人もの人物が、まくし立てる。今までにない“激論ゴジラ”と見た。

 ゴジラに立ち向かう主役は官房副長官・矢口(長谷川博己)、さらに首相補佐官(竹野内豊)、日系3世の米大統領特使(石原さとみ)ら。「エヴァンゲリオン」の庵野秀明が脚本を書き、総監督。

 庵野は、ありがちな天才博士の存在や家族のドラマを外し、第一線で国の命運を握る人たちに焦点を絞る。ゴジラは着ぐるみでなく、CG。

 政府の総合対策本部。首相(大杉漣)と閣僚、自衛隊幹部らが会議を重ねるが、有効なゴジラ対策が打てない。各省の思惑、縄張り争い、指揮系統の乱れ、法の不備、米国への配慮-。首相は市民の犠牲を覚悟して自衛隊の武器使用を認めるか?
 科学、生物学、物理学、軍事、兵器などの専門用語が飛び交う膨大なせりふを書いた脚本が驚異的。邦画が、これほどのディスカッションドラマを作ったことに感銘を受けた。早口で聞き取れない言葉もあるが、それがまたリアルさに。東日本大震災での関係者の苦悩を眼前にするようで、見ていて胸が痛みもする。

 映画的な仕掛けでは、矢口が集めた個性的な頭脳集団が面白い。組織の外れ者や変人、オタクらがゴジラ対策の切り札になる。

 長谷川、竹野内、石原が流ちょうな英語で外国の要人と渡り合う。初代「ゴジラ」(1954年)当時は考えられなかったグローバル化が、ここにも。

 題名の「シン」は新、真、神、進(化)、深(化)などをイメージさせる。あなたは、どんな字を充てるだろうか。

 1時間59分。横浜・ムービル、川崎・チネチッタほかで上映中。


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