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揺れる「基地の街」 トランプ政権始動 

社会 神奈川新聞  2017年01月22日 02:00

日米親善春祭りで航空機ファンが集まる米海軍厚木基地=2016年4月
日米親善春祭りで航空機ファンが集まる米海軍厚木基地=2016年4月

 「米国第一」主義を掲げ、予測不能な言動を繰り返す-。戦後の日本で“蜜月関係”が自明だった米国の新大統領に、ドナルド・トランプ氏が就任した。公約が実行されれば、米軍基地を抱え、日本経済をけん引する国際色豊かな神奈川でも影響は必至だ。関係者は先行きを注視している。

 陸海の重要な在日米軍施設が密集する県央地区。トランプ大統領が誕生した21日、近年の基地の動向を検証する集会が相模原市内で開かれていた。

 米陸軍は、キャンプ座間(座間、相模原市)の司令部と基地管理本部の庁舎を含め、県内4施設で大規模な改修事業を計画している。工事が進行すれば基地の恒久化につながりかねないが、集会を主催した相模補給廠(しょう)監視団の沢田政司代表(65)は「見通しは読めなくなった」と指摘した。トランプ氏は選挙戦で、在日米軍の撤退も示唆したからだ。

 一方、トランプ氏は新政権の重要ポストに複数の軍出身者を指名した。沢田代表は「実際の防衛政策は、従来とさほど変わらないのだろう」と静観している。

 米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)も、大きな転換期に差し掛かった。空母艦載機部隊の岩国基地(山口県)への移駐が、早ければ7月に始まると正式な発表があったばかり。

 騒音訴訟原告団の金子豊貴男団長(66)は「移駐は騒音被害の根本的な解決にならない」と強調する。駐留経費(思いやり予算)の増額を求めているトランプ氏に対し、「撤退こそ解決策。そもそも駐留は望んでいない」と切り捨てた。

 県内にある米軍基地の日本人従業員が加入する全駐留軍労働組合神奈川地区本部の飯島智幸執行委員長は、日本政府が駐留経費の負担増に応じた場合、従業員の労務費を削減するのではとの懸念が消えない。「日米安保について選挙期間中以上に踏み込んだ発言はなく、状況は良くも悪くもなっていない。『大丈夫そう』と判断できる材料はない」

 特に米海軍横須賀基地(横須賀市)内で働く約5千人の日本人従業員のうち、3千人程度が市民とされる。雇用不安は地域経済にも影を落としかねない。

 ただ、横須賀商工会議所の平松廣司会頭は「横須賀経済に大きな影響はないと思う」と話す。トランプ氏も極東地域の安全保障政策の転換にまでは踏み込めないとの見方だ。「横須賀は(戦略上)重要な基地だし、地元にも受け入れられている。中国、北朝鮮情勢を考えれば、雇用や艦船を減らす可能性は低い」と冷静に受け止める。

 「厳しいことを言ってきた場合、重要なのは日本政府の対応」。今後の行方を注視するのは、基地の街・横須賀で40年以上平和運動を続ける新倉裕史さんだ。

 駐留経費だけでなく、米軍基地の運用面での変化も危惧。「これまでも日本政府は、米国の要求を丸のみしてきた。基地を抱える自治体が地域住民の安全確保のために何を言うか。自治体の平和力が試される」


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