教科書の中に私はいない 「多様な性」想定を|カナロコ|神奈川新聞ニュース

教科書の中に私はいない 「多様な性」想定を

同性愛者の切実な訴え

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2015/05/28 10:25 更新:2017/06/06 21:34

変わらぬ教育現場


 恋愛の話題になると「男の子と付き合うより学校生活が楽しいから」とはぐらかし、一方で、好きな子に視線を送りすぎていないか、自分の行動ははた目におかしく見えていないか、心をこわばらせた日々-。現在、非政府組織(NGO)「ピースボート」のスタッフとして働く室井さんは当時と変わらぬ教科書の記述に落胆し、胸の傷がうずく。

 小学生用「新版たのしいほけん3・4年」(大日本図書、2015年度版)。

 〈思春期になると異性のことが気になったり、なかよくしたいという気持ちが強くなったりします〉
 中学生向けの「新しい保健体育」(東京書籍、12~15年度版)。

 〈思春期に入り、生殖機能が成熟してくると、自然に異性への関心が高まり、友情とは違う感情が生じてきます〉
 インターネットで署名集めを始めた昨年秋、賛同を求める文章をこうつづった。

 〈教育の場が変わらなければセクシュアル・マイノリティの子どもたちは救われません〉
 旧態依然な学校現場の実態は日高庸晴・宝塚大看護学部教授が11~13年、厚生労働省のエイズ対策研究事業で教員約6千人を対象に行った調査からもうかがえる。

 「性的少数者について授業で取り上げた経験がある」と答えた人は14%だった。取り上げない理由として「教える必要性を感じる機会がなかった」と答えた人は42%で、「教科書に書かれていない」と答えた人は19%いた。教員になる前に大学で同性愛について学んだことがある人は7・5%、性同一性障害については8・1%とともに1割に満たなかった。

 当事者の生きづらさを示すデータがある。日高教授らが05年にゲイ・バイセクシュアル男性約5700人を対象にした同事業の調査では、10代の約65%が自殺を考え、16%が自殺未遂をした経験を持っていた。日高教授は「性的少数者をテーマにした人権教育に取り組んでいる学校もある」としつつ、「保健体育に限らず、あらゆる科目で性的少数者について話題にし、肯定的なメッセージを送る必要がある。当事者が当たり前に日常に存在することを伝えることになり、当事者の子が自分の存在を認められるきっかけにもなる」

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