悩み、困難共有を 発達障害の配偶者を持つ妻支え|カナロコ|神奈川新聞ニュース

悩み、困難共有を 発達障害の配偶者を持つ妻支え

4月25日に行われた北里大の宮岡教授の講演会。約180人が集まった=横浜市中区

 成人した人の発達障害の認知が進む中、当事者を身近で支える家族をケアする必要性が指摘されている。なかでも深い悩みを抱えがちなのが、発達障害の配偶者を持つ妻。夫の障害特性から生じる悩みや困難があっても「どこの家庭にもあること」と取り合ってもらえなかったり、「夫ではなく、あなたが悪いのでは」と責められたりして、心身の調子を崩してしまう人もいる。その苦しみを分かち合い、回復を目指す活動が横浜市内で始まっている。

 4月16日、発達障害の夫を持つ女性の自助グループ「フルリールかながわ」の集まりが、かながわ県民センター(同市神奈川区)で開かれた。

 参加者は6人。「時間に正確すぎて、待ち合わせ時刻ちょうどに相手がいないと帰ってしまう」「『気持ちを考えて』と言ったら、『気持ちって何?』と聞き返された」「夫の両親に『息子の行動がおかしいのはあなたのせい』と言われた」…。夫の行動の特徴や周囲からの反応が語られるや、「うちも同じ」と共感の声が次々に上がる。

 夫と子どもの関係、金銭管理の問題やその対処法など、話題は幅広い。約3時間語り合った後、参加者の1人は「ここで話し合うことが生きていく力になる」と晴れ晴れとした笑みを浮かべた。

 フルリールかながわの代表を務めるのは、シニア産業カウンセラーの真行(しんぎょう)結子さん(51)=同区。自身も発達障害の元夫(56)と20年以上暮らし、気持ちを分かち合えないことや、さまざまな誤解に苦しんだ一人だ。

 元夫は、真行さんが仕事の悩みや子どもの進路を相談しても自分の考えを何も答えられず、感情を共有することもできなかった。「一緒に暮らしていても一人」のようでつらかったが、仕事や地域活動に熱心な元夫は周囲からの評判もいい。真行さんは自分を責め、体調を崩して通院もしたが、相談した医師に「僕も妻の話はあまり聞かない」と言われるなど、苦しみは理解されなかった。

 知人から元夫の発達障害の可能性を指摘され、同じ立場の女性が集まる都内の自助グループに参加。「私だけじゃないんだ」と安堵(あんど)を覚えた。同様の悩みを持つ人が気持ちを語り、否定されずに思いを共有できる場を県内にもつくろうと、昨秋立ち上げた。

 フルリールかながわでは話せる場づくりだけでなく、発達障害への理解を広める活動も行う。真行さんの元夫をはじめ参加女性の配偶者は、本人も周囲も障害に気づかないまま成人した人が大半だ。障害の特性を知れば、妻自身が配偶者にどう対応すればいいかが分かり、周囲の「妻が悪い」という誤解も解くことができる。活動を通じ、どんな人も暮らしやすい「共生社会」を実現することも目的だという。

 北里大医学部の宮岡等教授を招き、成人の発達障害を配偶者の視点から考える講演会も開催したところ、新潟や福岡からも参加者があり、関心の高さを裏付けた。真行さんは「悩んでいるのはあなた一人だけではない。抱え込まず、気持ちを分かち合う場に来てみてほしい。それだけで随分、楽になるはず」と話す。
 


 フルリールかながわのホームページのアドレスは、http://fleurirkanagawa.blog.fc2.com/

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