【紙面拝見】子どもの健康と安全|カナロコ|神奈川新聞ニュース

【紙面拝見】子どもの健康と安全

横浜市立大学学長 窪田吉信

 これからの高齢化社会を向かえるにあたり、「健康」についての記事が目に留まりました。健康については皆さんも関心が高いものと思います。私自身、気を使っているのは「よく歩くこと」。毎日できるだけ階段を使ったり、休日には趣味を兼ねて近くの山を歩いています。

 3月5日付横浜版を読みますと、横浜市が第一生命保険と健康づくりに関する包括協定を締結。同社の営業担当者が取引する4千社に対して、市が取り組むさまざまな健康増進事業を案内し「健康寿命日本一」に協力して、大都市での健康づくりのモデルをつくろうと計画しているとのこと。健康づくりには一人一人の意識の醸成と多面的なアプローチが必要でしょう。

 また、記事の中で林文子市長はがん検診率の低さを心配しておられるとのことでした。がんに関しては、本学としても、先端医科学研究センターという研究施設を中心に、新たな診断法や装置の開発など先端的な研究を進めています。将来、簡便にがんの検出ができる日もそう遠くないと期待しております。

 ところで、高齢化社会の課題というと、大人だけが対象かというとそうではありません。子どもや若い世代が生き生きと住みやすく、明るく健康で過ごすことができるようにすることも重要な課題です。子どもの安全や健康を守ることに関する記事もこの視点に位置づけられると思います。

 例えば、同日付横浜版で家庭や公園など生活の場で起きる子どもの命にかかわる事故をなくすグループ「セーフティキッズいずみ」の啓発を中心とした取り組みを紹介していました。子どもの事故は、とかく家庭の問題として扱われ、一般的に事故予防への地域の関心が低くなりがちでもあります。このような地道な地域ぐるみの取り組みやちょっとした工夫が子どもの安全を守ることにつながります。

 3月9日付健康面では、子どもが、ぜんそくなどで受動喫煙に関わる病気になっても親が禁煙するとは限らないという実態があることが紹介されておりました。喫煙は、法律で禁止されているわけではありませんが、医師として言わせていただければ、「百害あって一利なし」と思います。喫煙者自身のことはともかく、子どもの健康を守る点からは、受動喫煙の問題は掘り下げてほしいと思います。

 さらに、大阪で乳幼児を揺らすことが良いという科学的根拠のない間違った知識に基づき、乳児が死亡してしまうという痛ましい事件のことが載っていました。NPOという世間からは信用されているはずの場所で、このような事件が起きたことに非常なショックを受けました。今後このような悲しい事件が起きないようにするためにも、子どもの健康や安全に関する記事をもっと増やすことが有効ではないでしょうか。

 (くぼた・よしのぶ 医師、医学博士。同大附属病院副病院長、同大副学長など歴任。専門は泌尿器科学。横浜市金沢区在住)

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