横浜南陵 3―1 藤沢工科

【評】横浜南陵が速攻で接戦を制した。立ち上がり、新村、奥田、松岡の二塁打攻勢で2点を先制。辻はコーナーを突く制球がさえ、無四死球1失点の完投で応えた。藤沢工科は坂尾が3失点と力投したが、打線が五回以降は散発の3安打と沈黙した。

「越えろ」。横浜南陵の2年松岡は一塁に向かいながら、胸の内でそう念じていた。

2―1の八回1死二塁。苦手な内角のスライダーに対し、全力で引っ張った打球は思いを乗せたかのように伸びていく。レフトオーバーの適時二塁打。初回のタイムリーを含む2安打2打点で勝利に導いた。

「いつか自分も、夏にあんな活躍がしたい」。2人兄弟の次男坊。五つ上の兄佑磨さんの背中を追って野球を始めた。柏陽に進学した兄もまた、高校球児だった。

4年前の夏、保土ケ谷で行われた柏陽―旭の3回戦。当時中学1年の松岡は自宅で家族と一緒にテレビ観戦した。兄は2安打を放ち、7―0のコールド勝ちに貢献した。

「めちゃめちゃ、かっこよかった」。そのわずか3カ月後のことだ。佑磨さんは他界した。まだ17歳だった。

年の離れた男兄弟。照れもあり、交わした言葉は多くない。キャッチボールの機会も減っていた。だが、夏のグラウンドで躍動する兄の姿は心の中で生きている。

「最高ですね」。父睦士さんがスタンドでほほ笑む。歓喜の輪の中心でチームメートに祝福される姿に「たくましくなった。佑磨の野球をしていた姿も浮かんできて…」。その瞳に涙がにじむ。

「きっと兄ちゃんが見てくれて、打たせてくれたんだと思う」。横浜南陵、そして松岡家のヒーローは「次も決める」と誓った。

【神奈川新聞】

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