迎える 「外国人活用」の足元(7) 鍵握る日本語の習得

日本語が不自由な外国籍住民も多く、「バイク進入禁止」を6カ国語で伝える看板=県営いちょう団地

体育館は熱気に包まれていた。7月の週末、県営いちょう団地(横浜市泉区、大和市)内の横浜市立いちょう小学校跡地で、住民らによるバレーボール大会が開かれた。

自治会、外国籍住民の支援団体、同校の統合先である市立飯田北いちょう小教員…。外国籍の若者が半数を占め、年齢も肌の色も異なる約100人が集う恒例行事だ。秋にはソフトボール大会も開かれる。

「大会が、お互いの顔が見える関係を持ち続ける機会になれば」。外国籍住民との窓口役として、約30年間にわたって尽力してきた第8自治会の阪本利恵会長(62)は、高齢化が進む地域の新たな担い手として外国籍の若者に期待を寄せる。

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団地脇に構えた外国籍住民の支援団体「多文化まちづくり工房」の事務所には、次々と外国籍の住民が訪れる。さまざまな行政手続きなど昨年1年間の相談件数は約1500件。重要な役割を担うのが、同団体の子ども向け日本語教室を卒業した外国籍の若者たちだ。

通訳として学校や病院、時には法廷にも足を運ぶだけでなく、日本人スタッフと一緒に相談に応じるなど地域を支える側に回っている。早川秀樹代表(40)は「ただの通訳ではない。コーディネーター」と呼ぶ。

早川代表が懸念するのは若者の将来だ。「外国籍住民の多い地域ではコーディネーター役の若者が欠かせない。だが、ボランティアで、雇用は保障されていないのが実情」と訴える。

NPO法人かながわ難民定住援助協会(大和市)の桜井ひろ子会長(74)も「それぞれの母国と日本、二つの文化を持っていても、うまく生かすことができない若者は多い」と指摘。親世代の貧困を引きずることなく、活躍の場を持てるよう支援の必要性を強調する。

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若者が将来に不安を抱く一方、大人たちは「今」に苦しんでいる。

団地生活20年ほどの芝勇祐さん(56)は日本国籍を取得したラオス難民。ラオス名はタイ・ナンセンだ。独学の日本語は読み書きが苦手。脳梗塞で倒れた母親を介護し、アルバイト収入が生活の糧だ。年金に加入しておらず、老後の生活は見通せない。大学進学を望む娘を支援できず、父親として悲しさが募る。

成長戦略の柱として外国人受け入れ拡大が国レベルで議論される中、芝さんが最も苦労すると予想するのが日本語の習得だ。日常生活で不自由するのはもちろん、「自分は日本人だと思っているが、外国人で日本語ができないからと信用されない。差別されることが一番傷つく」。

桜井会長は「日本語が不自由だと意思の疎通がうまくできず、行き違いも生じ、就職などの壁にもなる」と指摘。さらなる外国人受け入れの際には「日常生活に支障が出ないよう、日本語教育や社会保障など環境を整えることが不可欠」と訴えている。

【神奈川新聞】

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