選抜高校野球:『頂点へ』 横浜15度目の春【5】二人三脚の名コンビ|カナロコ|神奈川新聞ニュース

選抜高校野球:『頂点へ』 横浜15度目の春【5】二人三脚の名コンビ

戦況を見守る渡辺監督(右)。小倉コーチ(左)との二人三脚は続く=9日、横浜高長浜球場

 「10年、20年とは言わないが、(2018年夏の全国選手権大会の)100回大会まではやりたい。学校にクビだって言われたら別だけど」。甲子園で歴代3位タイとなる通算51勝を重ねる名将、渡辺元智監督(69)はそう言って笑う。

 孫である佳明が最終学年となった14年シーズン。ことし11月には古希を迎える。

 今季限りで勇退するのではないか。そんな話が野球関係者の間ではまことしやかに語られていた。

 しかし指揮官は一笑に付す。「そんな無責任なことできないだろ」。そして続けた。「渡辺、小倉の野球を慕って入ってくる選手がいる以上、急に辞めるということはできないよ」

 ノックバットを振るう機会は以前よりもだいぶ少なくなった。

 しかし、今もグラウンドを所狭しと歩き回る。投手陣には身振り手振りで指導し、野手には自らトスを上げて打撃をチェックする。その姿は秋から冬、そして春と、甲子園が近づくにつれて精気を増してきている。

 昨夏の甲子園、試合前のシートノックでもそうだった。神奈川大会で平田徹部長(30)に任せていた外野へのシートノックでもバットを握り、最後まで自ら白球を転がし、飛ばした。

 締めである高々としたキャッチャーフライは聖地の銀傘に届くかに思われた。「ずっと練習していたんだよ」。にやりと記者に笑って見せた。大舞台に懸ける情熱は燃え尽きてはいない。

 5度の全国優勝を誇る名門にともに育て上げてきた、元部長である小倉清一郎コーチ(69)への特別な思いもある。「よき伴侶を得られたというのかな。彼が技術面を、私が人間教育をと二人三脚でやれたからここまで来られた」。だから「本人の思いもあるだろうが、最後まで添い遂げたい」と話す。

 半世紀の間に高校野球を取り巻く環境、特に選手の気質は大きく変化した。スポーツなどに秀でている生徒が入る「特性コース」以外からも、ベンチ入りを志す選手も出てきた。

 「もっと骨太の選手がほしい」。そう嘆きながらも「今は文武両道の学校になってきている。だからこそ、こういう選手たちを率いてもう一度全国制覇したいんだ」と教え子を見やる。

 初戦の相手は東北王者の八戸学院光星(青森)に決まった。1998年の連覇は春、夏とも強豪が初戦の相手だった。優勝した2006年の春も履正社(大阪)に1-0で勝ってから快進撃が続いた。

 「ここ(甲子園)ではごまかしの野球がきかないし、1、2回戦で厳しい試合を乗り越えないと勝ち進めない」。まだ、渡辺野球は終わらない。=おわり【神奈川新聞】

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