横浜・帝蚕倉庫が解体へ、再開発で高層ビル建設/神奈川|カナロコ|神奈川新聞ニュース

横浜・帝蚕倉庫が解体へ、再開発で高層ビル建設/神奈川

横浜・みなとみらい21(MM21)地区に隣接する横浜市中区の北仲通北地区再開発計画で、森ビルは24日、丸紅と共同で高さ約200メートルの超高層ビルの建設に着手すると正式に発表した。当初の計画を変更し、保存する方針だった歴史的建造物「帝蚕倉庫」を取り壊した上で外観と内装を復元すると明らかにした。

同日夜、市内で開かれた地元向け説明会で発表した。森ビルなどは6月にも市に都市計画の変更を提案し、市は12月中に計画変更の都市計画決定をする見通し。2014年内に着工し、18年をめどに完成を目指す考えだ。

森ビルによると、東日本大震災をきっかけに帝蚕倉庫を検査したところ鉄筋コンクリート造の構造に不備が見つかったという。担当者は「安全性に懸念がある」として、解体した上で外壁のれんがなどの部材や内装を再利用して倉庫を復元した建築物を計画している。担当者は「倉庫群があった歴史を継承したい」としている。

森ビルによると、当初の超高層ビル計画は地下3階地上50階建て、総床面積約16万平方メートル。集合住宅やホテル、オフィス、商業施設などの用途を想定していた。新たな計画ではビルの高さや総容積率は変更しないことを前提に住宅用途の割合を増やす。約700戸だった住戸数は、約千~1200戸になる見通し。ホテルの誘致は断念する。

同地区が12年1月に、国による「特定都市再生緊急整備地域」に指定され、事業者が都市計画変更を提案することが可能になった。同地域内では事業者の提案から6カ月以内に都市計画決定を行うことが法律で定められている。

森ビルは当初、08年12月末にビルを着工する予定だったが、リーマン・ショックの影響などで計画を凍結していた。北仲通北地区の計画地区は約7・8ヘクタール。最大地権者の森ビル、都市再生機構、大和地所、日新など6者が参加している。

◆景観議論 深まらないまま

「生糸貿易で栄えた横浜の記憶を残す遺構」と市が評価した横浜市中区の歴史的建造物「帝蚕倉庫」が保存方針から一転、解体された上で復元されることになる。開港の歴史を継承してきた横浜らしい景観をめぐる議論が深まらないまま取り壊されることになりそうだ。

当初の計画では市のまちづくりガイドラインに基づき、倉庫を曳屋という特殊な手法で移動させて保存し、生まれたスペースに超高層ビルを建設するものだった。それが倉庫の解体へと一転した理由として、事業者の森ビルと丸紅は24日夜に市内で開いた地元向け説明会で、東日本大震災で内部の壁が剥がれるなどの被害もあったと説明した。

横浜市立大学国際総合科学部まちづくりコースの鈴木伸治教授は「事業者は自ら耐震診断を行った上で曳屋保存を提案した」と経緯を明らかにした上で「保存すると決めた以上、事業者はそれを守るべきだ」と訴える。「仮に解体して復元するにしても倉庫として機能していた当時を詳細まで復元できるのか。品質の保証は誰がするのか」と疑問を呈する。

国による「特定都市再生緊急整備地域」に指定されたことで、事業者による都市開発提案ができるようになった。市都市整備局のある幹部は「提案から都市計画決定まで6カ月以内と決められては、提案内容をほとんど変更できない」と市の関与が限定的になることを認める。景観の議論がなされる前に着工する運びになりそうだ。

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