原発労働者死の真相は、劇「臨界幻想」岩手で上演/川崎|カナロコ|神奈川新聞ニュース

原発労働者死の真相は、劇「臨界幻想」岩手で上演/川崎

母親(右端)が医師(中央)や看護師を前に、息子の死の真相を突き止めようと立ち向かうシーン=川崎市幸区

川崎市幸区を拠点に活動を続ける劇団「京浜協同劇団」が9月、原発労働者の危険を訴えた劇「臨界幻想」を、岩手県西(にし)和(わ)賀(が)町(まち)で開かれる「銀河ホール地域演劇祭」で上演する。30年以上前に東京の劇団が世に送り出し、各地で大反響を呼んだ同劇。同劇団は「被災地の東北で上演できることは意味のあること。責任を感じる」と練習にも熱が入る。

21日午後8時。木の香りが漂う稽古場は、緊張感に包まれていた。「一つ一つ集中して!」「真実を知ろうとする意欲。それを演技で出して!」。同劇団の演出担当、内田勉さん(63)が大きな声を響かせ、身ぶり手ぶりで出演者に演技指導を行う。

「臨界幻想」は社会派で知られる劇作家で、同市麻生区在住のふじたあさやさんの作品。「未来産業」と憧れ、原発で働いていた26歳の若者の死。死因は当初心筋梗塞とされたが、会社側から1千万円もの大金が支払われたことに疑問を抱いた母親が、息子の死の真相を追い求めていく、というストーリーだ。

東京の劇団「青年劇場」が1981年に上演。労働者被ばくや事故の危険性、原発の虚構などを描いた同作品は、当時原発の立地予定地などでも上演され、反響を呼んだ。京浜協同劇団も今年6月に川崎市内で上演し、10ステージとも満席の好評を得たという。

今回出演する演劇祭は、岩手県中西部の西和賀町にある演劇専用ホール「銀河ホール」(約300席)が舞台。地域演劇の発展を目指し、全国の劇団から毎年3~5劇団ほどが選ばれ、今回で20回目を数える。人口6600人ほどの小さな町だが、同劇団によると、ホールのおかげで町民の年間観劇数が全国平均を大きく上回るなど、「演劇の町」としても知られているという。今回は「20回目の節目にふさわしく、骨太で今日的な作品を」と依頼があり、実現したという。

「大飯原発の再稼働問題や首相官邸前でのデモなど、国民的な議論になる中、原発の抱える問題についてあらためて考えてほしい」と内田さん。「原発は人間がコントロールできないもの。今の科学の力で原発を存在させておくこと自体、間違いだと訴えたい」

演劇祭は9月1~2日に開催。同劇団の公演は2日午後1時から。終演後には「臨界幻想が伝えたこと」をテーマに、作者のふじたさんと内田さんのトーク企画も予定。演劇祭の問い合わせは同ホール電話0197(82)3240。

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