核ない世界、次代へ訴え 川崎の被爆2世が書籍出版|カナロコ|神奈川新聞ニュース

核ない世界、次代へ訴え 川崎の被爆2世が書籍出版

「核なき未来へ」を出版した森川さん=横浜市西区

 県原爆被災者の会二世支部の副支部長で、被爆者の体験伝承活動などにも携わる森川聖詩(せいし)さん(64)=川崎市多摩区=が、自らの生き方や体験を軸にした本「核なき未来へ 被爆二世からのメッセージ」を出版した。差別を受けた経験や、被爆2世の運動に取り組んだ学生時代、体調に不安を抱えながら仕事に打ち込んだ半生を振り返り、そこに核兵器や原発の悲劇も重ね合わせながら、平和な世界をつくるために動くことを訴えている。

 森川さんの父親は、爆心から約1キロの場所にあった広島中央放送局(現在のNHK広島放送局)で被爆した。1954年生まれの森川さんは子どもの頃から体が弱く、ちょっとした傷がなかなか治らない体質だったという。

 同書では、「被爆2世としての生き方、体験を開示しながら、それだけではない問題点にも触れた」と森川さん。父親が被爆者運動に深く関わっていたこともあり、家庭ではその体験などを聞くのは当たり前だったが、学校や就職活動では差別的な扱いも経験したこと。就職後は、体調に大きな気遣いが必要になり、運動から離れたこと。50代で被爆2世を主人公にした映画を見たことを機に、再び活動に力を入れ始めたこと。

 広く共感を得られるよう、自身の経験はあえて客観的に記し、東京電力福島第1原発事故の避難者、反原発についても言及した。「問題がそれぞれ分化し、ばらばらなのは惜しい。(本が)何とか架け橋にならないか」という気持ちも抱いている。

 戦後70年を過ぎても、「核なき未来」は見えてこない。森川さん自身も、「自分が生きている間に、核兵器や原発がなくなるのは難しい」と考えている。「若い人に読んでもらい、平和を築くとはこういうことかと思ってもらえれば」と次世代へ思いを込める。

 現代書館刊、3240円。全国の書店で販売している。

PR