丹沢のシカ 減少傾向 植生も回復の兆し 神奈川県推計|カナロコ|神奈川新聞ニュース

丹沢のシカ 減少傾向 植生も回復の兆し 神奈川県推計

管理捕獲が奏功

丹沢にすむシカ。現在は減少傾向になっているとみられる(神奈川県自然環境保全センター提供)

 丹沢山地などで下草の衰退といった食害をもたらしているニホンジカが減少傾向にあることが、神奈川県の推計で分かった。県は中高標高域での管理捕獲が奏功しているとみている一方で、麓周辺での捕獲数が必ずしも減っておらず、箱根町と小田原、南足柄の両市にまたがる箱根山地での生息数が増加傾向なこともあり、慎重に評価を進めている。

 第4次県ニホンジカ管理計画(2017~21年度)によると、丹沢を含む8市町村の保護管理区域で、個体数推計の最近のピークは06年度。同年度は「5千頭前後~1万3千頭前後」で中央値が7500頭近かったのに対し、14年度は「1800頭前後~1万1千頭前後」で中央値は4300頭前後まで減った。

 個体数推計は捕獲数に基づいたもので相当の幅があるものの、減少傾向のカーブを描く。県は03年度から実施している管理捕獲の効果とみているが、その管理捕獲の担い手である県猟友会からも、減少を裏付ける声が上がっている。

 昨年12月に開かれた、県と民間団体などが進めている丹沢大山自然再生活動の18年度報告会で、県猟友会の役員が現場での感触を説明。「管理捕獲の初期は、1回の『巻き狩り』(囲いながら追い立てる猟の手法)でシカが20頭近く獲れたこともあった。同じ場所で管理捕獲を続けてきたところ、最近では1頭も獲れない日もある。全体ではシカが少なくなっているようだ」と話す。

 県自然環境保全センター研究連携課の田村淳主任研究員も、この報告会で「丹沢では県猟友会による管理捕獲と、高標高域ではワイルドライフレンジャーによる捕獲で、07年度からシカが減少傾向になっている」とする。

 また食害から守るため、県が設置を進めている高さ1・8メートル、30~50メートル四方の「植生保護柵」が効果を上げているが、田村研究員は柵の外でも植生の回復の可能性を指摘。「18年夏には丹沢山山頂の植生保護柵の外で、県絶滅危惧種のクルマユリ、ハルナユキザサを数個体、目にすることができた。少しずつ明るい兆しが出てきた」と報告している。

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