胃ろう導入の状況とは 秦野でセミナー「QOL見極めて」|カナロコ|神奈川新聞ニュース

胃ろう導入の状況とは 秦野でセミナー「QOL見極めて」

多くの地域住民らが聞き入った胃ろうセミナー=2018年12月、鶴巻温泉病院

 口から食事を取れなくなった人に対し、おなかの外と胃をつなぐチューブを取り付けて胃に栄養を補給する「胃ろう」。どのような時に導入すべきかをアドバイスする地域公開セミナーが昨年12月、秦野市の鶴巻温泉病院で開かれた。介護中の家族の関心は高く、地域住民ら約110人が参加し熱心な質問をした。参加者は「ケース・バイ・ケースだということがよく分かった」と話していた。

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 講師を務めたのは、鶴巻温泉病院第2診療部長の蓮江健一郎医師。療養や緩和ケアについて幅広い経験から、胃ろうの問題について語った。

 胃ろうは、2000年ごろから急激に普及し、「食べられなくなったら胃ろうという時代もあった」という。ただ、終末期や認知症末期の患者にも導入するのは、本人も望まない無益な延命ではないかとの疑問の声が出たほか、胃ろうによる延命で診療報酬、介護報酬、生活保護費などを得ようとする貧困ビジネスのような事例があることが報道され、「胃ろうバッシング」が起こった。その結果、現在は過大評価から一転、「過小評価されてしまった」と蓮江さんは語る。

 蓮江さんは、食べられなくなった時の人工的水分補給・栄養補給には、医学的な理由から病態に応じて4種類に分かれることを解説した。消化管(胃腸)が使える場合は、短期では鼻から胃にチューブを入れる経鼻経管栄養、長期では胃ろうが適切となる。また、消化管が使えない場合は、短期は末梢(まっしょう)点滴、長期は中心静脈栄養になるとした。導入に際しては、「導入することで回復する病態か、利益はあるのか、生活の質(QOL)の維持・改善となるのか、本人が望んでいる生き方なのかを考え、判断する必要がある」と指摘した。

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