刻む2018〈14〉通底する腐敗の構図 日産ゴーン容疑者逮捕|カナロコ|神奈川新聞ニュース

刻む2018〈14〉通底する腐敗の構図 日産ゴーン容疑者逮捕

記者の視点=経済部・田崎 基

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2018/12/29 10:31 更新:2018/12/29 14:21
 権力は常に腐敗し、暴走する。この歴史的経験から、法で権力を縛る必要がある。

 販売台数世界第2位の巨艦を揺るがす首脳陣の瓦解(がかい)に、私は日本という国が置かれた現状を重ねずにはいられない。

 腐敗し、暴走し、敵を探し分断する。権力基盤の持続こそが自己目的化し、破滅と自壊を避けられなくなっているのではないか-。

 11月19日午後5時ごろ「日産、ゴーン氏逮捕へ」の初報が流れ、その2時間後に、君臨した「カリスマ」の呼称は「容疑者」へと一変した。

 午後10時から始まった記者会見に臨んだ西川広人社長(65)はカルロス・ゴーン容疑者(64)を「首謀者」と呼び、事実上の告発について、「重大な不正の除去」「長年にわたる統治の負の側面」とまで酷評してみせた。

 300人近い報道陣を前にして西川社長が繰り返し口にした「ガバナンス」(統治)という言葉は私の耳底に残り続けた。

 それはつまり、西川社長自身にこそ跳ね返ってくる重責を意味するのではないか、と。


片棒


 ゴーン容疑者が日産の取締役に就いたのは1999年。当時、日産はバブル崩壊後の市場低迷に対応できず経営不振が続いていた。そこで登場したのがフランスの自動車大手「ルノー」だった。

 ここに西川社長の略歴を重ねてみる。

 77年に日産に入社し、自動車部品を購入する購買企画部の部長に西川社長が就いたのは、ゴーン容疑者が最高執行責任者(COO)に就いた翌2000年のことだ。

 それまで、多くの自動車メーカーは特定の自動車部品メーカーとだけ契約し、下請け構造全体を「系列」として守ってきた。互いの経営を安定化させ開発を共同で行える一方で、個々の部品メーカーの競争力を失わせ、日産にとって不採算を招く要因にもなっていた。

 ここにゴーン容疑者は大なたを振るった。「系列」を解体したのだ。「日産系」の部品会社は別の競合他社との価格競争に晒(さら)されることになった。当時を知る県内の部品会社幹部は「血も涙もないと恨む声はあった。互いに融通を利かせてきたわけだが、それを一刀両断だった」と振り返る。

 その現場を率いたのが、他ならない西川社長であった。翌01年4月には購買部門の「エグゼクティブ ゼネラル マネジャー」に就任、...

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