刻む2018〈13〉国策に翻弄変わらず 米軍施設で新方針|カナロコ|神奈川新聞ニュース

刻む2018〈13〉国策に翻弄変わらず 米軍施設で新方針

 県内の米軍施設について、日米両政府が11月、2004年の合意を見直し、新たな方針を打ち出した。米軍根岸住宅地区(横浜市中、南、磯子区)を3年程度で返還するため日米共同使用に関する協議を始め、返還条件だった池子住宅地区(同市金沢区、逗子市)の横浜市域での住宅建設は取りやめるのが柱。ただ、横須賀基地(横須賀市)に独身者向け下士官宿舎を建設し、池子地区の逗子市域には生活支援施設を整備するなど、実態は負担のたらい回しだ。日米安保という「錦の御旗」のもと、地元は国策に翻弄(ほんろう)され続けている。

県 負担増 明確な「NO」なく


 懸念は的中した。

 根岸住宅地区の返還に絡む日米合意で、県内の自治体は基地負担の増減を巡り明暗が分かれた。県は慎重な言い回しに複雑な立場をにじませ、新たな負担増に反対する姿勢を回避。自他ともに「第2の基地県」と認めながら、新基地建設に猛反発する沖縄との落差が改めて鮮明になった。

 「負担が増える可能性がある基地については、基地周辺の生活環境に影響を与えることがないよう国に働き掛けていく」

 黒岩祐治知事のコメントから、基地機能強化に対する怒りは伝わらない。今回の合意は、横浜市が負うはずだった新施設整備を横須賀、逗子市が肩代わりした格好で、まさに負担のたらい回しだ。大方針の返還要求に逆行する動きでありながら、明確に「NO」を突き付けられない姿勢に失望する県民は少なくない。

 根岸の返還協議スタートで、県内で返還方針が固まっていた米軍施設の整理は一定の区切りを迎える。安全保障環境の変化や米軍再編に絡み、終戦直後に162カ所あった米軍施設は12カ所に減少。総面積も最大時(1957年)の3825ヘクタールから半減した。

 ただ、残る基地は米軍がアジア太平洋地域の拠点とする横須賀基地や厚木基地(大和、綾瀬市)をはじめ、司令部機能の強化が続くキャンプ座間(座間市、相模原市南区)や相模総合補給廠(相模原市中央区)といった主要施設ばかり。整理・縮小が見通せないどころか、中国への抑止力強化やミサイル防衛の進化など「新冷戦」に対応すべく、より重要度を増している。

 早期返還と負担軽減は900万県民の願いだ。実現の道筋が見えなかろうと、基地と共存した地域経済の実情があろうと、粘り強く訴え続けるしかない。「押しつけはやめろ」と。

横浜 まだ見えぬ将来像

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