苦悩の舞台裏に映るリアル 【FOR REAL-遠い、クライマックス。-】|カナロコ|神奈川新聞ニュース

苦悩の舞台裏に映るリアル 【FOR REAL-遠い、クライマックス。-】

 プロ野球・横浜DeNAベイスターズの1年間に迫る最新作。シリーズ3作目の今作は「最も重苦しく、最も息苦しい」との触れ込み通り、過去作品以上に暗たんとした場面の連続だ。

 若き選手たちが手にしたはずの自信を失っていく様子が映し出される。球団史上初のクライマックスシリーズ進出を果たした一昨年、日本シリーズまで勝ち進んだ昨年から今季は4位に転落。その結末を知ろうとも、華やかなプロ野球選手たちが涙に暮れ、時に物にまで当たる姿には人間味がにじみ、見る者をくぎ付けにする。

 今作からメガホンを取り、自らもカメラを回した辻本和夫監督が、被写体である選手との距離を縮めようと苦悩する日々も「リアル」そのもの。日を追うごとに両者の距離は縮まっていくが、重圧のかかるシーズン終盤、チームの低迷を食い止められない選手たちはまた、扉を固く閉ざしていく。

 いらだちを募らせる選手に激高されてレンズを伏せるシーン、急いでピントを調整しながらカメラを回すシーンもそのまま採用されている。ワンカットの長回しによってそれらが生かされた映像にも、辻本監督が「リアル」を追い求めた姿勢が表れる。

 次回作の「予告編」とも捉えられるだろう。今作までが「起承転」ならば第4作の「結」はどんな作品に仕上がるか。チームの来季とともに期待感が残る。

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