若き王の未熟さ表現 四代目・中村橋之助が初の現代劇|カナロコ|神奈川新聞ニュース

若き王の未熟さ表現 四代目・中村橋之助が初の現代劇

「すごくいい雰囲気の中で稽古している。そういう環境で芝居を学べるのは幸せなこと」と話す四代目中村橋之助=KAAT(撮影・立石 祐志)

 ソポクレスによるギリシャ悲劇「オイディプス王」を新たな切り口で上演する舞台「オイディプスREXXX」が12日、KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)で始まる。主演は現代劇初出演の若手歌舞伎俳優、四代目中村橋之助(22)。若き王の未熟さや揺れ動く内面を表現しつつ「今までになかったオイディプス王を見せたい」と意気込んでいる。

 父を殺し、産みの母と夫婦となった王が破滅への道をたどるまでを描いた本作。劇団KUNIO主宰で現代演劇界をけん引する杉原邦生が演出を手掛ける今回の舞台では、オイディプス王を「一人の青年」として描き出すことを目指す。

 数多くのベテラン俳優が演じてきたこの役のオファーを受けて「率直にうれしかった」と橋之助。歌舞伎以外の舞台に立つことへの憧れはかねてあり、父である八代目中村芝翫(三代目橋之助)にも「勉強になるから挑戦した方がいい」と後押しされたという。

 稽古に入るまでは「歌舞伎役者としての幅を広げたい」との思いを抱いていたが、次第に「一役者としてどう芝居をするか」と目の前の作品に集中するようになった。

 河合祥一郎翻訳の原作を読み、「頭に血が上り人を殺してしまうこの人間によって、悲劇がもたらされる。『何だこれは』というのが第一の感想だった」と率直に語る。杉原には「その現代の若者ならではの感性のまま芝居に臨んでほしい」と言われたといい、「若いが故に人前でほえ、相手によって態度を変える。そんな未熟なさまをお客さんに感じ取ってもらえれば」と話す。

 現代劇への出演は初めてで、歌舞伎との違いに驚くこともしばしば。「歌舞伎はある程度骨組みが決まっていて、特に僕のような身分では先輩から教えてもらった芸をなぞって自分のものにしていく」と橋之助。

 一方、「オイディプス-」では台本だけがあり、演じ方は基本的に自由。初めは戸惑いもあったが、オイディプスの妻と母・イオカステを演じる南果歩の「稽古場なんて恥をかく場。楽しくやるのが一番」との一言に「すごく吹っ切れた」。役者として一層芸を磨き、自分を変えたいと充実した表情を見せる。

 「ギリシャ悲劇」とはいえ、笑える場面などエンターテインメント要素も詰まっている本作。「『こんな人いるな』と登場人物に感情移入しやすい演出になっている。あらすじを知っている人も知らない人も、オイディプス王の人間性に触れながら舞台を楽しんでほしい」と話している。

 12~24日。19日休演。料金は6500円、24歳以下3250円ほか。問い合わせは、チケットかながわ電話(0570)015415。

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