多様化するコンビニ 横須賀に高齢者対応店舗誕生 介護相談窓口も|カナロコ|神奈川新聞ニュース

多様化するコンビニ 横須賀に高齢者対応店舗誕生 介護相談窓口も

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2018/11/28 02:00 更新:2018/11/28 02:00
 コンビニエンスストアの多様化が加速している。宅配、現金自動預払機(ATM)、生鮮食品、調理総菜、医薬品へと拡大し、ついに「介護相談窓口」を設けた店舗が県内で初めて横須賀市内に誕生した。ドラッグストアやスーパーマーケットとの垣根も薄れ、競争に拍車が掛かる。本格化する少子高齢化、人口減少に向けて限られた市場の奪い合いは激化している。 

 平日の昼下がり、オープンしたばかりの店舗に初老の男女が詰め掛けていた。ローソンが県内で初めて展開する介護相談窓口を併設した「ローソン横須賀鶴が丘店」。近くに住む女性たちがテーブルを囲み談笑していた。

 「私ももう77歳、夫は83歳になって、やっぱり不安にもなる。今は月に1回病院で検診を受けているけど、こういう店があると安心よね」

 店舗内の一画(約36平方メートル)には飲食ができるテーブルやいすを置いた「サロン」と、介護相談窓口を設け、介護用品も取り扱っている。

 ここで介護事業を担うのは、地元横須賀で訪問、通所、居宅介護支援など幅広い介護サービスを提供している「スマイル」(同市小川町)だ。建物の一部を借りて営業する。

 コンビニへの出店は初めてという同社。嘉山仁常務は「介護が必要になってから相談ではなく、事前に情報を得ておく方が安心。私たちとしても敷居を下げ、できるだけ川の上流で利用者と出会える」と狙いを明かす。10年前、百貨店に相談窓口を出店したが「時期尚早だった」(嘉山常務)。満を持しての出店になる。

質の勝負始まる


 このローソンでは、従来薬局でしか扱えなかった「第2類、第3類」の医薬品も取りそろえる。24時間営業のうち朝から夕刻まで登録販売者を配置することで実現した。

 介護相談や医薬品販売、中には処方箋を受け付けられる店舗も展開しているローソン。通常1店舗当たり約4500種類の商品を販売しているコンビニだが、ここに介護関連商品約100種類、医薬品(第2類、第3類)約400種類が加わり合計5千種類となる。

 こうした店舗展開を「ケアローソン」と名付け、2015年ごろから出店、横須賀店を含め全国で18店舗が営業している。

 品ぞろえやサービスを拡充することで来店客数が増え、売り上げが増加する。そんな思惑が透けて見えるが-。

 「そう簡単な話ではない」

 ローソンの中村輝満開発本部副本部長は話す。

 「売り上げ増の貢献効果は5~10%。検証は難しいが、それほど大きな効果は認められない」

 店舗形態を多様化させ、多品目化させている理由について中村副本部長は、「売上高も大切だが、加えて地域で認められることが重要になっている。はす向かいにいつ競合するコンビニが出店してくるか分からない。そのとき差が出る」

 団塊の世代が75歳を超えて国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になる「2025年問題」がやってくる。対応には手間や経費がかさむが、商機と捉える。出店数競争だけではない質の勝負が始まっている。

用地確保の秘策


 実はそれ以上に「介護サービス」を組み入れる別の狙いもあった。

 このローソンは住宅地から幹線道路へとつながる交差点の角にある。敷地面積が約1千平方メートルあり、コンビニ出店地として垂ぜんの好立地だ。この土地は17年9月、県住宅供給公社が定期借地による事業者を公募していた土地だった。

 2者が提案し選定された。その理由は「周辺住民の生活をサポートすることを目的としたコンビニ」。事業評価点でライバル社を上回ったことが決め手となり、選定された。

 中村副本部長は「用地を確保する際、提案内容に『介護相談窓口』を設けることや、品ぞろえとして介護関連商品を組み込んだ。これは評価ポイントとして大きいはず」と明かす。

 コンビニの年間売上高は15年に10兆円を超え、店舗数も全国5万5千店に上る。リーマン・ショック後に低迷した顧客単価は16年から一気に伸長し、17年12月には16年平均と比べ4・7%増の640円となった。

 ここに、薬局を展開するクリエイトSD(横浜市青葉区)や、充実した生鮮食品が売りのイオンリテールの「まいばすけっと」も出店攻勢をかけている。

 浜銀総合研究所の城浩明上席主任研究員は「コンビニの存在価値はやはり『便利さ』にある。その意味でこれまで提供するサービスを拡充し続けてきた。介護相談窓口もその一環だろう。こうした傾向は今後も続く見通しで、競争は激しくなる」とみている。

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