港WORKER:税関の役割伝える
NPO法人「クイーンの塔」理事長 金子 正雄さん
- 横浜みなと新聞|神奈川新聞|
- 公開:2018/11/26 14:05 更新:2018/11/26 14:17
ミナト横浜の中心地、横浜市中区海岸通1丁目。「クイーンの塔」の愛称で知られる横浜税関の資料展示室「クイーンのひろば」は税関の歴史や貿易の変遷を実物などで展示し、修学旅行生や観光客、視察団らでにぎわっていた。
バッグや靴、ベルト、医薬品などは、いずれも本物と見分けがつかない。しかし、模倣品は知的財産権を侵害するほか、利用すれば思わぬ事故や健康被害に見舞われる恐れがある。
横浜税関から案内業務を委託されているNPO法人「クイーンの塔」の金子正雄理事長(74)は「模倣品を国内に送らず、持ち込まないで」と女性たちに話し掛けた。
同会は、税関職員OBが中心となり2003年に設立。展示室の管理運営を中心に、横浜港の活性化とPRを目的に活動を続けている。現在の会員数は約160人で、その2割ほどが横浜港に興味を持つ主婦などの一般市民。定年退職を迎えた男性陣も少なくない。
創設期から関わってきた金子さんは元税関職員。横浜税関に採用された1963年は東京五輪の前年で「社会が激動しているという印象を持った。社会全体が元気で活気に満ちており、仕事はやりがいがあった」と振り返る。
大蔵省(現在の財務省)関税局で13年間働いたのち、全国の税関を点々とした。東京税関大井出張所長、横浜税関調査部次長、神戸税関調査部長、財務省関税中央分析所長など豊富な経験を生かし、港の役割や外国貿易の重要性を分かりやすく説明している。
観光地にほど近く、入場無料ということもあり毎年6、7万人が来場する。高齢者は横浜開港から税関の始まりを紹介する歴史コーナーに関心が高く、小中学生は金属探知機やファイバースコープを使った体験型の展示に興味津々だ。
2020年東京五輪・パラリンピックを控えて日本語に加えて英中韓の3カ国語で案内する音声ガイダンスを設け、英語の看板も掲げて外国人観光客も積極的に受け入れている。
「いろんな人と巡り会い、交流して新しい知識を吸収している」と笑顔で話す金子さん。「横浜税関の役割を伝えることで横浜港のイメージアップを図り、港の活性化に寄与したい」