日産、ゴーン容疑者の報酬過少申告認める「複数の重大な不正」|カナロコ|神奈川新聞ニュース

日産、ゴーン容疑者の報酬過少申告認める「複数の重大な不正」

三菱自動車と資本業務提携の基本合意を発表した日産自動車社長時代のゴーン容疑者=横浜市神奈川区

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 日産自動車(横浜市西区)のカルロス・ゴーン会長(64)が、同社の有価証券報告書に虚偽の記載をした疑いがあるとして、東京地検特捜部が金融商品取引法違反の疑いでゴーン会長が逮捕された問題を受け、日産は同日午後、「当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について」と題するコメントを発表した。

 ゴーン容疑者と、代表取締役のグレッグ・ケリー氏が「不正行為を行っていた」と指摘、数カ月にわたり内部調査を行っていたことを明らかにした上で、こう記載している。

 「その結果、両名は、開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明いたしました」

 ゴーン容疑者の年俸を巡っては毎年その額について批判があり、社内からも疑問視する声が上がっていた。2018年3月期の日産単独の報酬総額は7億3500万円に上る。

 コメントにはさらにこうも記している。

 「そのほか、カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められ、グレッグ・ケリーがそれらに深く関与していることも判明しております」

 社の資金を私的に流用していたとすれば、東京地検特捜部が容疑としている「金融商品取引法違反」よりも重たい刑事罰の適用も視野に入りそうだ。

 数カ月前から調査を続けてきた日産は検察当局に情報提供していたという。

 日産はこうした調査結果を踏まえ速やかにゴーン容疑者を解任する方針だ。

 コメントはこう締めくくっている。

 「このような事態に至り、株主の皆様をはじめとする関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを、深くお詫び申し上げます。早急にガバナンス、企業統治上の問題点の洗い出し、対策を進めて参る所存であります」。

部品会社にも激震


 日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者が逮捕されるとの一報を受け、県内に立地する自動車部品メーカー幹部から驚きと嘆息が漏れた。「世界販売が落ち込みそうで不安は大きい」。世界販売2位を誇る日産とフランス大手ルノー、三菱自動車の企業連合を率いるカリスマ経営者の刑事事件だけにその影響は計り知れない。

 県内に立地する自動車部品大手の幹部は「いまは静かにしていなければならないときなのに」とため息交じりに語った。

 2017年9月には日産で新車の完成検査を規定に反して無資格者が行っていたことが判明し、影響がようやく収束したばかりだ。

 さらに今回は、ゴーン容疑者による「資金の私的支出」という疑いまで浮上した。経営を一手に握り率いていた豪腕が刑事訴追されれば影響は避けられない。

 売上高の約3割を日産連合で占めているという県内の部品会社幹部は、「風評被害も含めて、影響がどれだけ出るか。ルノー連合の経営もそうだが、販売台数が落ちればうちの経営にも当然響く」と嘆く。

 部品メーカー各社は、この20年間で納入先を複数に広げることでリスクを分散しつつ、売り上げを拡大してきた。ただ同時に完成車メーカー側は連携・統合を繰り返してきたため、こうした不祥事の影響は避け難い状況にある。

 部品メーカーも完成車メーカーの世界戦略に合わせて海外拠点を拡充してきた。ルノー連合がグローバルマーケットを相手にしているだけに、影響の広がりも世界規模になる可能性がある。

 「いい車を、きちんと丁寧に売っていきたい。それだけなのに」。部品会社の幹部はため息をつき、情報収集に追われていた。

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