支え合いの現場から 地域包括ケアの行方  模索続く訪問介護(中)|カナロコ|神奈川新聞ニュース

支え合いの現場から 地域包括ケアの行方  模索続く訪問介護(中)

「 重度化防止」で生活の質向上

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2018/11/06 13:18 更新:2018/11/06 13:19
 介護保険の訪問介護サービスについて、身体介護、生活援助の区分や内容について規定し、「訪問介護のバイブル」とも称される厚生労働省通知「老計第10号」。訪問介護の自立支援、重度化防止を進め、身体介護の報酬増を行った2018年度介護報酬改定を受け、同通知も昨年度末に改正され、「見守り的援助」の明確化が行われた。

 見守り的援助は、「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」と定義され、自立支援、ADL(日常生活動作、食事やトイレ、入浴など)、IADL(手段的日常生活動作、ADLよりも複雑な電話、買い物、服薬管理など)、QOL(生活の質)向上の観点から、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守りとされている。利用者の身体に直接触れるのは必要な時だけだが、ヘルパーの専門性が必要な支援であり、生活援助より報酬単価の高い身体介護に位置付けられている。

 今回の改正点は、目的部分で「重度化防止」が追加されたほか、向上を目指す観点でも、IADL、QOLが追加された。具体的事例も8事例が追加され15事例になるなど、訪問介護における見守り的援助の意義が強調され、射程も広がった。

 さらに、列挙した事例以外にも、常時介助できる状態で一緒に行うことが、「ADL・IADL・QOL向上の観点から、利用者の自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられたもの」も見守り的援助になるとした。利用者の人生経験、強みに着目した創造的な支援が期待されている。

 この改正について、9月19日の合同研修で解説を行った横浜市福祉サービス協会神奈川介護事務所の新井仁子所長は、「自立生活支援のための見守り的援助がきちんと位置付けられ、非常に評価している。訪問介護事業所にとっては、ヘルパーの専門性が評価され報酬増になる。利用者の自立が進めば、利用者・家族、保険者の市町村にとってもプラスになる」と語る。

 合同研修での失敗例でも、当初は、この「見守り的援助」として、一緒に調理や掃除を行うケアプランが作られた。ヘルパーの適切な声かけ、動機付け、アドバイス、用具の工夫などで、自分で調理や掃除を続けることが可能になり、自立生活を続けられることが期待されたからだ。もちろん認知症の重度化防止も期待された。しかし、失敗例が示すように、「見守り的援助」が十分に行われるには課題も数多くある。

厚生労働省通知「老計第10号」

厚生労働省通知「老計第10号」

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